グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


診療科

大腸がん



大腸がん

図1

大腸は小腸の後ろから肛門までの1.5~2mにわたる長い内臓で、食物が消化吸収された後の残渣をため、大便として排泄する働きを担っています。また大腸の中には、大腸菌や乳酸菌などの100種類以上の腸内細菌が存在しており、食物繊維の分解や感染予防の働きなどをしています。図のように各部位に名前がついており(図1)、特に肛門から12.3cm程度までの大腸を直腸、肛門のすぐ近くの部分を肛門管と呼び、口側の大腸(結腸)と区別しています。

日本では大腸がんの罹患者数(大腸がんに罹った人の数)、死亡者数(大腸がんのために亡くなった人の数)は年々増加傾向です。2014年の国立がん研究センター・がん情報サービスによると、結腸がん、直腸がんを合計した罹患数では、男性は胃がん、肺がんについで第3位、女性では乳がんについで第2位、全体で1位と非常に頻度の高い疾患となっています(表1)。
さらに2017年の死亡率は、男性は胃がん、肺がんについで第3位、女性では第1位と非常に頻度の高い疾患となっています(表2)。

2014年の罹患数(全国推計値)が多い部位は順に

表1 1位 2位 3位 4位 5位
男性 大腸 前立腺 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸5位
女性 乳房 大腸 子宮 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸2位、直腸7位
男女計 大腸 乳房 前立腺 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸6位

2017年の死亡数(全国推計値)が多い部位は順に

表1 1位 2位 3位 4位 5位
男性 大腸 前立腺 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸7位
女性 大腸 膵臓 乳房 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸2位、直腸9位
男女計 大腸 膵臓 肝臓 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸7位
当院は静岡県下で11病院、13施設のみの大腸癌研究会関連施設であり、最新の「大腸癌治療ガイドライン」(図2)に準拠して化学的根拠に基づいた(Evidence-based)治療を行っています。主に治療を担当する医師は消化器外科専門医および大腸肛門病学会専門医の資格を保持し、手術治療のみではなく化学療法(抗がん剤治療)や栄養療法、緩和医療についても幅広い知識と経験を持っています。
【大腸癌ガイドラインの解説(患者さん用)】

図2

医師用

患者用

症状と検診

小さな大腸がんは特別な症状を顕さず、大腸がん検診で発見されることも少なくありません。このため、平成4年度より40歳以上の方全てを対象に、大腸がん検診として便潜血反応検査が行われています。この検査は異なる2日の便を少しずつ提出して、ヒトヘモグロビン(血液の中の要素)が混入していないか調べます。便を提出するだけですので大変簡便な検査です。便潜血反応が陽性となる方は検査を受けた方の5~7%ですが、実際に精密検査(内視鏡)で大腸がんが発見される方は0.1%前後(1000人に一人)と報告されています。しかし、大腸がんによる死亡率はこの検診を定期的に受けている方が受けていない方の1/4~1/5と少ないといわれています。
「症状が出たので検診」ではなく「症状のないうちに」1年一回検診を受けましょう。
当院では検診センターで大腸がん検診を受け付けています。

横行結腸より口側に大腸がんが発生し大きくなると、貧血、腹痛、腹部の張り、しこり、食欲不振、体重減少などが起こります。また全大腸がんの約2/3を占めるS状結腸がん、直腸がんでは血便(便に血が混じる、表面に付着する)、便柱狭小(便が細くなる)、残便感(排便後すぐにトイレに行きたくなる)下痢と便秘を繰り返すなどの症状がおこることが多く見られます。また肛門からの出血は、日本人に多い病気である痔核(いぼ痔)によるものと自己判断され、大腸がんが進行する場合も少なくありません。このような症状が続く方はご相談ください。

大腸がんの検査と診断

大腸がんは腸管の内側から発生するため(図3)、その診断異は肛門からカメラ(内視鏡、図4)を入れて内側を見る大腸内視鏡検査が有効です。
また大腸がんが発見された場合には、がんの進行度(ステージ、図5)を診断するために、胸部や腹部のCT(Computed tomography)検査が必ず行われます。当院では最新鋭の320列CT装置および256列CT装置を擁し、一回のCT検査で大腸の造影検査(CT colonography)、血管造影(CT angiography)を同時に行うことも可能です。更に全ての診断用CT装置には被ばく低減技術が搭載されており、できるだけ体に負担が少ない検査を心がけています。

図3

図4

図5(大腸癌取扱い規約第8版)

治療

大腸がんの治療は大腸癌取扱規約(図6 第9版、2018年7月刊行)という取り決めに基づいて診断し、ステージを決定します(図5は大腸癌取扱規約8版)。ステージは0からIVの5段階で表されますが、一般にステージの数字が小さいほど治りやすいとされています。リンパ節や他の内臓にがん細胞が広がる(転移)ことで治りにくくなっていきます(図7)。このことからも、大腸がんの早期発見が重要であることがわかります。

図6

図7

大腸がんの治療は
  1. 内視鏡的切除(ポリープ切除術、粘膜切除術、粘膜剥離術)
  2. 外科的切除(開腹手術、腹腔鏡下手術)
  3. 化学療法(抗がん剤治療)
  4. 放射線治療
の4つの方法を単独または組み合わせて行います。
大腸がんは内臓に発生するがんの中で、病変の切除が非常に有効である病気です(図8)。内視鏡的切除については消化器内科で行っており、これでは切除困難である場合には外科的治療を選択します。手術治療では、治療効果を落とさずにできるかぎり体へのストレスを減らし、早く社会復帰していただくことを目的として、積極的に腹腔鏡下手術を取り入れています。また外科的切除を中心としながら、必要に応じて手術の前後に抗がん剤治療を組み合わせたり、放射線治療を行ったりして、完治を目指した治療戦略を立て治療を行っています。

図8

治療成績

大腸癌術後 全生存率(他疾患による死亡も含む)

全症例の生存曲線

  1. ホーム
  2.  >  診療科
  3.  >  消化器外科
  4.  >  大腸がん