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くすりの話

第16話 内服薬について


2007年10月/磐田市立総合病院 薬剤部

皆さんに医師が処方する薬は、大きく分けて内服薬、外用薬、注射薬があります。中でも一番もらう機会が多いものが内服薬と思われます。今回は、この内服薬について説明したいと思います。
この内服薬には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、ドライシロップ剤などの剤形があり次のような特徴を持っています。

内服用錠剤

外見は同じように見える錠剤でも更に次のような種類があります。それぞれ特殊な加工が施されていたりします。

裸錠(素錠)

くすりの成分を圧縮して成形した錠剤です。

糖衣錠

裸錠のままでは味のよくないくすりなどの表面を糖分の膜で覆って飲みやすくした錠剤です。

フィルムコーティング錠

光、湿気により効果が減ってしまう成分をこれらから遮断したり、悪い味や臭いをかくすためにフィルムで覆った錠剤です。

腸溶錠

くすりの成分には、胃酸によって効き目が失われるものや、胃を強く刺激してしまうものがあります。このような成分が、胃で溶けず、腸に届いて効き目を発揮できるよう、胃液で溶けてしまわない特殊な膜で覆った錠剤です。噛んだりつぶしたりして服用すると、効果が弱くなったり副作用を起こしたりすることがあるので、必ず錠剤のままで服用することが大切です。

チュアブル

主に幼児や高齢者用に、かんでもしゃぶっても、水がなくても簡単に服用できるように作られた錠剤です。
子供用の気管支喘息のくすりなどがあります。

徐放錠

1日の服用回数を減らすために効果を長時間持続させたり、副作用を軽減するために、成分が溶け出す時間を調節できるよう特殊な加工を施した錠剤です。

速崩錠(口腔内崩壊錠)

飲み込みが難しい患者さんでも飲みやすいように開発された製剤で、唾液によって速やかに崩壊するので水なしでも服用できる錠剤です。
トローチ ゆっくり口の中で溶かし、のどの炎症や口内炎などの治療に用います。
舌下錠 舌下に入れて成分を口腔粘膜から速やかに吸収させて効果を出すくすりで、狭心症発作時に使うニトログリセリン錠などがあります。
付着錠 口腔粘膜の患部に付着させて覆うことにより、持続的に患部に成分を浸透させます。口内炎の治療薬などがあります。
※また内服しない錠剤として、以下の錠剤などがあります。これらは用法をしっかり確認することが大切です。

カプセル剤

主に粉末や顆粒の医薬品を充填した硬カプセル剤と、主に液状の医薬品を充填した継ぎ目のない軟カプセル剤があります。成分が徐々に溶け出すように加工した顆粒や、胃で溶けずに腸で溶けるようにしたくすりを充填したり、カプセル自体に徐放性、腸溶性の加工を施したものもあります。
特にカプセル剤では、水の量が少ないとのどに引っかかって炎症を起こすことがあります。寝たままでの服用は避け、充分な量の水で服用することが大切です。

散剤

医薬品を粉末または微粒状にした、いわゆる粉薬のこと。
くすりの量をきめ細かく設定することができます。錠剤やカプセル剤に比べ、腸からの吸収が速いのが特徴です。

顆粒剤

大きさのそろった小さな粒状で、散剤に比べて舞い散ることが少ないくすりです。味のよくない成分の表面を薄い膜で覆って飲みやすくしたり、膜の厚みなどを変えて成分が溶け出す時間を調節したりしてあるものもありますので、噛まずにそのまま白湯か水と一緒に飲んでください。

液剤

くすりを水や少量のアルコールなどで溶かしたもので、こどもが飲みやすいように甘みや香りを付けたシロップ剤もあります。錠剤や散剤などの固形内用薬に比べ、腸からの吸収が速いのが特徴です。

ドライシロップ剤

甘味の付いた顆粒を水に懸濁して飲むシロップ剤です。

このように内服薬にもいろいろな特徴があります。自分の判断で噛んだりつぶしたりして服用すると、非常に飲みにくくなったり、効果が充分現れなくなったり、思わぬ副作用が起こったりすることがあり危険です。そのままでは飲みにくい剤形のくすりをもらった場合は、お気軽に薬剤師に相談してください。

簡易懸濁法ってなに?

食べ物やくすりを上手に飲み込むことが難しい患者さんに、胃へ通じる管を通して栄養剤やくすりを投与する方法があります。このとき当院では、主に簡易懸濁法という方法を用いてくすりを投与しています。これは、錠剤やカプセル剤をそのまま温湯に10分程入れて崩壊させた懸濁液を管から注入する方法で、以前から行っている錠剤などを粉砕して水に懸濁する方法よりも安全で効果よく簡単に行うことができます。ただし、徐放、腸溶等に加工されたくすりや、温湯での安定性が悪いくすり、崩壊しないくすりには用いることはできません。


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