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第9話 糖尿病の薬について

2006年1月 磐田市立総合病院 薬剤部
今回は現代の生活習慣病の代表格である糖尿病とその薬について考えてみます。

糖尿病とはどんな病気なのでしょうか?

私たちの体を動かし、生命を維持するためには自動車のガソリンにあたるブドウ糖が必要で、血液の中に溶け込んでいます。これを「血糖」といいます。血糖の量は食事をすると増え、逆に空腹になると減ってきます。糖尿病はこの血糖が高くなる病気です。
健康な人ではインスリンの働きで血糖は一定の値に保たれていますが、糖尿病になるとこの値を超えて高い状態が続きます。このような状態が続くと血管がもろく、ボロボロになってしまいます。その結果さまざまな病気(いわゆる合併症)の引き金になります。
特に失明の原因となる糖尿病性網膜症や人工透析の原因となる糖尿病性腎症、手や足がしびれる糖尿病性神経障害を三大合併症といいます。この他にも心臓病や脳梗塞の原因となる動脈硬化も引き起こします。

なぜ、糖尿病になるのでしょうか?

血糖を処理したり利用したりできるのは、インスリンというホルモンのおかげなのです。インスリンはすい臓のランゲルハンス島という細胞の中のβ細胞でつくられ分泌されます。
さまざまな原因によってインスリンの出が悪くなったり(インスリン分泌不全)、インスリンの働きが鈍くなったりすると(インスリン抵抗性)、ブドウ糖を細胞に取り込んで利用することができにくくなります。それによって血糖が高くなってしまいます。
これらの原因として遺伝的なものや環境的なものなどが考えられます。また食べ過ぎや運動不足、ストレスなどの生活環境も大きく関係しています。とくに肥満はインスリン抵抗性の大きな原因の1つといわれています。
大規模な調査では食後の血糖値の指標とされている経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)という検査の結果がある基準以上に高いと正常の人と比べて死亡する確率が高くなるという結果が出ています。
だからこそ糖尿病を早期に発見して治療を行うことが、その後の合併症を予防する糖尿病治療の基本なのです。

なぜ、糖尿病が増えたのでしょうか?

日本における糖尿病患者は740万人といわれています。それに糖尿病を否定できない人、いわゆる糖尿病予備軍の人は880万人といわれています。なんと人口の8人に1人が糖尿病か、その予備軍というわけです。
糖尿病がこれだけ増加してきたのは原因でも述べましたが、現代の日本人は食べすぎ、飲みすぎ、運動不足、肥満、ストレスといった不健康な生活習慣となりがちだからです。

どんなときに、薬が処方されるのでしょうか?

糖尿病になっても必ず薬による治療(薬物療法)が必要なわけではありません。血糖コントロールをうまく行うための補助的な役割をするのが薬物療法です。 食事療法と運動療法をきちんと行ったうえで、必要に応じて薬を正しく使えば、血糖を上手にコントロールすることができます。しかし治療の基本はあくまでも 食事療法と運動療法です。

どんな薬に、どんな効果があるのでしょうか?

糖尿病に用いる薬には飲み薬である経口血糖降下薬とインスリン注射があります。
経口血糖降下薬には次のような種類があります。
1すい臓を刺激してインスリンを分泌させる薬にはインスリンを産生するすい臓のβ細胞に働きかけて、インスリンの分泌を促すスルホニル尿素薬(SU薬) とスルホニル尿素薬と異なり短い時間だけインスリンの分泌をよくするため、食事と食事の間の低血糖が起こりにくいという特徴がある、新しいタイプの速効型 インスリン分泌促進薬があります。
2腸からの糖の吸収を遅らせる薬として糖質がブドウ糖に分解されるのを抑えて、腸管内での糖質の消化・吸収を遅らせる薬でα‐グルコシダーゼ阻害薬があ ります。この薬は食後の高血糖を改善することができます。この薬を飲んで、低血糖がおこった場合はブドウ糖を飲む必要があります。
3インスリンの作用を高める薬としてインスリン抵抗性改善薬といい筋肉などでインスリンの効き目をよくして、ブドウ糖が細胞内に入りやすくする薬や、ビグアナイド薬といい腸からのブドウ糖の吸収を抑えたり、肝臓が血液中にブドウ糖を送り出すのを抑えたりする薬があります。この薬は筋肉などでブドウ糖がう まく利用されるよう手助けする働きもあります。飲み薬以外に基本的に患者様自身で注射をするインスリンがあります。これは不足しているインスリンを注射によって体の外から補給して、血糖を下げる治療法です。インスリンは効き目があらわれる時間と、効いている時間からいくつかに分類されます。自分の使っているインスリンの特徴を知っておくことが大切です。自分で注射するというとむずかしそうですが、現在のインスリン注射は薬や注射器がどんどん進歩して、とても簡単に注射できるようになっています。

低血糖とは?

食事療法や運動療法とちがって薬物療法を行っているときに、もっとも注意しなければならないのは、血糖値が下がりすぎる低血糖です。血糖値が下がりすぎ たときには、頭が重い、吐き気、体がだるい、動悸、脱力感、冷や汗、空腹感のような症状が出てきます。
薬はきめられた量をまもっているか、食事時間が不規則になっていないか、空腹時に激しい運動をしていないか、など低血糖の原因となることがないか注意が必要です。
低血糖になったらすぐに砂糖や使っている薬によってはブドウ糖などの糖分をとることが必要です。

服用の方法を守ることが大切です

特に糖尿病の薬はインスリンを含めて薬によって飲む時間や注射する時間が違います。
主治医や薬剤師の指示を守って、正確に服用することが大切です。
参考資料アステラス ホームページ / アベンティス・ファーマ ホームページ