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トピックス

認知症の方の入院療養を支える 「認知症ケアサポートチーム」


認知症を患う高齢者が身体疾患を合併し、急性期病院に入院することは、今後も増加すると予測されます。医療は「説明と同意」に基づいて提供されます。しかし、記憶障害や見当識障害といった認知症による脳の機能低下による症状(中核症状)や、慣れない入院環境や治療、身体の不調によるストレスから起こる症状(行動・心理症状:BPSD)(表1)、せん妄などにより、状況が理解しにくくなることで治療に支障を来すことがあります。患者側・医療者側双方に影響する重大な問題です。影響を最小にとどめるためには、認知症のBPSDやせん妄の予防・緩和をし、問題を複雑化させないことが重要となります。
認知症ケアサポートチームは、医師や病棟看護師、認知症看護認定看護師、作業療法士、臨床心理士、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、事務職員などの多職種で構成しており、認知症の方が質の高い医療サービスの提供を受けられ、安心・安全に療養生活を送ることができるようサポートしています。毎週カンファレンスと病棟ラウンドを行い、病棟のスタッフと協同して個々の状態に合わせたケアの方法や薬剤の使用方法など検討し、調整が必要な方に対してサポートチームが介入しています。また医療の現場では、治療の継続のためやむを得ず身体拘束をせざるおえない場合がありますが、環境整備やケア方法の工夫といった代替策を検討することで、身体拘束を最小限に抑え、尊厳が守られるよう支援しています。
今回紹介する“認知症マフ”もチームで安全に使用出来る方法を検討した上で、認知症ケアの一つとして導入しています。また、院内デイケアやベッドサイドで行える運動動画の作成、院内外での研修の企画・運営を行い、認知症ケアが途切れることがないよう、地域との連携を推進しています。

カンファレンスの様子

表1 認知症の中核症状と行動・心理症状(BPSD)

新しい認知症ケアの取り組み 「認知症マフ」の活用

認知症マフとは

認知症マフ(以下マフ)は筒状のカラフルにデザインされたニット製品です。英国ではtwiddle muffと呼ばれています。両サイドから手を入れて温めたり、内側や外側に取りつけたアクセサリーと呼ばれる飾りを自由に触ったりすることができます。認知症の方の落ち着かない手を穏やかに温かく保ち、触覚や視覚などの感覚を刺激することで心身の緊張を解きほぐし、安心感を得る効果があると言われています。
また、触覚の心地良い刺激を好む方や視力低下により外部からの感覚刺激の少ない方、コミュニケーションが困難な方にも適しています。国内では在宅医療や高齢者施設、病院などでも活用されはじめています。

認知症マフがつなぐ心の絆

当院では2022年に導入し、認知症の方の不安や孤独感を和らげるために、優しく手を握ってあげたい思いをマフに託し、認知症ケアの一助として活用しています。認知症の方が、マフを提供する人や周囲の人と一緒に、マフを通して交流が生まれ、昔の記憶が呼び起こされることでコミュニケーションの促進にもつながっています。また、ミトン型の身体拘束の代替ケアとしても使用することがあり、身体拘束解除につながった事例も
あります。
マフを安全に使用していただけるように、「飾りは飲み込めない大きさ」「ボタンやビーズは使用しない」などといった基準を設け、現在さまざまな方の協力のもと作成しています。認知症のある方とその方々を支える世代のつながりを感じています。

認知症マフ

講習会での作成風景

実際の装着の様子①

実際の装着の様子②

地域の方から認知症マフを寄贈していただきました。ありがとうございます。

野中 富司子さん

野中富司子さんは、以前からボランティア活動に関心が高く、地域で活躍されていました。偶然見かけた新しい認知症ケアの取り組み 「認知症マフ」の活用 新聞記事をきっかけにマフのことを知り、独自で作品を作られていました。今回、袋井市中部地域包括支援センターの方を通じて当院へご紹介いただき、たくさんのマフを寄贈していただきました。大切に使わせていただいています。

藤本 正也

脳神経内科部長
認知症疾患医療センター長
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