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トピックス

多職種の力を集結し慢性腎臓病に立ち向かう



腎臓内科医師の腎センター回診風景

慢性腎臓病は生活習慣と密接に関係します

腎臓は、血液をろ過し不要なものを取り除く臓器で、体の左右に1つずつあります。不要なものや過剰な水分は尿として体外へ排出し、必要なものは体内にとどめるよう調整します。腎臓の働きが悪くなり、不要なものや過剰な水分が体内にたまると、むくみ、高血圧、食欲不振、だるさなどの症状が現れます。

慢性腎臓病とは、尿の異常(たんぱくや血が混じる)や腎臓の働きが落ちている状態が3カ月以上続く病気です。国内の患者数は、生活習慣病の中で高血圧に次いで多い約1,330万人で、成人の8人に1人の割合です。

慢性腎臓病は初期には自覚症状がほとんどありません。これが腎臓病の怖いところで、患者数が増えている原因でもあります。また初期段階であれば治療で回復しますが、一定以上まで悪化すると自然に治ることはありません。さらに慢性腎臓病になると、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高まることも報告されています。そのため、慢性腎臓病が進行すると透析療法や腎臓移植を行わなければならないだけでなく、脳卒中や心筋梗塞を発症する可能性が高まってしまいます。

慢性腎臓病の早期発見には、定期的に健康診断を受け、尿や血液の検査をすることが重要です。特に尿たんぱく陽性の人は要注意ですので、病院での詳しい検査が必要です。慢性腎臓病を悪化させないために必要なのは、①減塩、②適正な体重の管理、③血圧管理、④血糖管理、⑤脂質管理です。慢性腎臓病が生活習慣と密接に関わっていることが、よくわかると思います。

各診療科・多職種の専門性を生かし治療にあたります

当院の腎臓内科は、糖尿病・内分泌内科や血管外科、形成外科等と協力して治療を行っているのが特徴です。実際に、当院ではこれらの各診療科が1つの病棟に集まっており、お互いに相談しやすい環境を整えています。例えば、腎臓の病気は糖尿病が原因となる場合も多く、その結果として腎臓病のみならず手足の血流が悪くなることもありますし、皮膚の細胞が壊れる壊疽などの症状が現れることがあります。このような場合には、糖尿病・内分泌内科や血管外科、形成外科の医師と一緒に治療していく必要があります。つまり、慢性腎臓病が悪化する過程で、さまざまな診療科との関わりが重要になるわけです。

また、腎臓病にならないための予防支援から透析が必要な人への対応など、さまざまな病期で、看護師や管理栄養士、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士など多職種が関わっているのも特徴です。多職種それぞれの専門性を生かし、快癒に向けてチームとして患者さんを支えていきます。

「新たな国民病」である慢性腎臓病に立ち向かう

腎臓の機能は年齢とともに落ちていくため、超高齢化社会を迎えている日本では慢性腎臓病が今後も増えていくと予測されています。そのため、慢性腎臓病は「新たな国民病」と言われています。いっぽう、慢性腎臓病や糖尿病に対する新しい治療薬の開発が進んでいます。そのため、健診の機会を活用してご自分の腎機能を知ることと、慢性腎臓病を早期に発見して専門の治療を始めることがとても重要です。そして、喫煙、飲酒、運動不足、不規則な生活、ストレスなどに心当たりのある人は、慢性腎臓病の予防のため生活習慣の改善にもぜひ取り組んでほしいと思います。

深澤 洋敬

第1医療部部長
兼 腎臓内科部長
兼 腎センター長
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