グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


トピックス

呼吸器内科・呼吸器外科の連携で支える 最前線の肺がん治療



肺がんは気管支や肺胞の細胞が“がん化”したものです。主な組織型(種類)は、小細胞がん、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんの4つで、腺がんが最も多く半数以上を占めています。

肺がんの治療には手術、放射線治療、薬物療法があり、小細胞がんとそれ以外とでは治療は大きく異なります。病気の進行(転移の有無等)の程度と、遺伝子の変異の有無やPDL1蛋白の発現の程度等、がん細胞の種類や患者さんの全身状態を第一に考え、適正な治療を単独、または組み合わせながら、症状緩和もあわせて、治療を行います。

※PD-L1蛋白…免疫チェックポイント阻害剤の効果を推定する検査の1つ。

がんの診断を担う呼吸器内科。診断率の向上に尽力

当院の呼吸器内科は、診断率向上に力を注いでいます。画像検査で認められた肺の異常な陰影の組織診断には主に気管支鏡検査を行います。のどに局所麻酔薬を噴霧した後、口から直径6mm程度の太さの気管支鏡を挿入し、内部を観察し、病変部の組織を採取し、がん細胞があるかどうかを調べます。病変が肺のどの位置にあるかは、適宜、胸部CTから作成する仮想内視鏡も利用しています。また、病変を採取する前に、気管支鏡用の超音波プローブを使用し、病変部を確認しています。

また、リンパ節への病変の進展があるかどうかを評価するため、超音波で位置を確認しながら、吸引生検を行う方法も実施しています。近年は検査器具も性能の良いものが開発されてきており、必要に応じて積極的に取り入れ、安全で確信度の高い検査をこころがけています。2022年10月に、肺の組織を採取する方法として、冷却プローブで組織を凍結させて採取するクライオ生検を導入しました。これまでの鉗子での組織採取と比較して大きな組織が採取できるのが特徴です。今後、肺がんの検査にも導入を進める計画です。

治療は基本的にガイドラインに沿って行います。患者さんの年齢や基礎疾患、全身状態等を考慮して、患者さんごとに最適の治療をどうするか、診療科内で話し合って決定します。治療にあたり、リハビリテーション科や栄養管理室、薬剤部、歯科衛生士等、多職種がそれぞれ専門的な立場でかかわります。

治療法の決定時から呼吸器外科、放射線治療科と適宜連携をとり、病気の進行度の判断の段階で、外科的処置や放射線治療が必要になりそうな患者さんは、合同カンファレンスを開催して治療方針を決定しています。月に5~6例、対象となる患者さんがいらっしゃいます。他の診療科との連携の強みも活かして、患者さんごとに最適な治療を行っていきたいと考えています。

妹川 史朗

副病院長
兼 呼吸器内科部長

中東遠地域唯一の呼吸器外科。手術に専念できる強み

当院は中東遠地域の医療機関の中では唯一、呼吸器外科を標榜しており、人口約46万人の外科的な治療を担う役割があります。一時、呼吸器外科医の退職が重なったために1人体制となった時期があり、隣接する浜松市で手術治療をお願いするなど患者さんにはご不便をおかけしました。5年前に私が当院に赴任して以降は、徐々に医師を増員し、現在は2人の呼吸器外科専門医を含めた3人体制で診療に取り組んでいます。住み慣れた地域での手術治療を望まれる方が多く、手術件数は徐々に増えています。

縦隔腫瘍に対するロボット支援下手術の様子

当科では、体に対する影響が少なく、傷も小さい胸腔鏡手術を取り入れています。肺がんに対しては、胸腔鏡補助下に8cm程度の傷で手術するハイブリッド胸腔鏡手術を行っています。

さらに2022年、手術支援ロボットを用いたロボット支援下胸腔鏡手術を開始しました。2023年1月には肺がん(肺悪性腫瘍)、4月には良性・悪性縦隔腫瘍におけるロボット支援下手術の施設認定を受け、ロボット支援下胸腔鏡手術が保険診療で行えるようになりました。

呼吸器内科との連携で心強いのは、抗がん剤などの薬物治療を担ってもらえることです。以前は、外科医が担当することもありましたが、近年は抗がん剤の種類が増えてきて副作用も複雑に変化してきたため、外科医が手術の合間に行うのは難しくなってきました。呼吸器内科で対応してもらえることで、患者さんに安心して薬物治療を受けてもらえるメリットがあると感じています。

中東遠エリアで、呼吸器内科と呼吸器外科が連携して肺がんの治療を提供できるのが当院の強みです。気になる症状があれば、安心して受診してください。

望月 孝裕

第2医療部部長
兼 呼吸器外科部長
兼 地域医療支援センター副センター長
  1. ホーム
  2.  >  トピックス
  3.  >  呼吸器内科・呼吸器外科の連携で支える 最前線の肺がん治療