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米国留学紀行


消化器内科部長兼消化器内視鏡室長兼教育研修室副室長 
山田貴教

異なる価値観への理解と寛容さを学んだ研修

私は、当院赴任前の浜松医大では胃食道逆流が原因となる食道がん(食道腺がん)の予防に関する基礎研究を行っていました。このタイプの食道がんは日本ではまだ少ないものの、食生活の欧米化に伴い、今後増加すると予測されています。2016年にシンガポールで開催された国際食道学会で、学会長を務めた米国メイヨークリニックのWang先生に留学を申し入れ、快諾をいただいたのが、今回の留学のきっかけです。19年9月から11月、メイヨークリニックで学んで参りました。

メイヨークリニックは巨大な総合病院で、米国の病院ランキングでは常にNo.1の評価を受け、世界的に著名な先生が多く勤務しています。研修内容は、内視鏡室で検査・処置を見学することが主でしたが、医師に限らず医療スタッフは皆、私に非常に親切にしてくれました。異国の一流病院に独り乗り込み、不安だった私にはありがたい対応で、帰国後はこれまで以上に外国の方に親切にしようと思いました。メイヨークリニックの理念の一つに『generous(寛大)』があることの現れだと思います。

食道がんの内視鏡観察法や内視鏡による切除技術は日本が一歩進んでおり、これらについて、Wang先生は私に意見を尋ね、実際に診療に取り入れてくれました。米国消化器内視鏡学会の会長も務めた経験もある先生でありながら、私のような一介の日本人医師の意見を尊重し、素直に取り入れる姿勢には、最新の技術や研究成果以上に学ぶべきものがありました。

ニューヨークを訪れた際は、9.11テロの爪痕とそこから立ち上がる米国の姿を目にすることとなりました。多様な人種、文化の混ざり合う米国では、異なった価値観への理解や寛容が意識され、そこから生まれる他者への敬意が日本以上に重要視されていることを実感しました。

「9.11メモリアルミュージアム」近くの看板に『Every one’s different and everyone’s the same(みんな違って、みんな一緒)』とあったのが印象的でした。同じ民族と思い込み、違いを尊重することを忘れがちな私たち日本人は他人との違いをもっと受け入れるべきかもしれません。
患者さんが直面する疾患や環境も全く同じものはありません。私たち医療者も、患者さん自身やそのご家族も、それぞれの違いに応じた考えや対応を意識するべきですね。

メイヨ―クリニック セント・メアリーズ病院

Wang先生と研交室にて

9.11メモリアルミュージアム近くの看板

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