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自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法について

当院では、おおよそ65歳以下の多発性骨髄腫や再発難治性悪性リンパ腫の患者さんに対して、自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法(以下、自家移植)を行っています。


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幹細胞採取を施行する医師

非ホジキンリンパ腫に対する自家移植の治療成績

若年の再発難治性悪性リンパ腫の患者さんにおいて、救援化学療法(これまでおこなった抗がん剤治療とことなる抗がん剤治療)で治療の奏功が得られた場合に、自家移植の実施が推奨されており 1) 、自家移植を行ったほうが抗がん剤治療のみを続けるよりも予後を改善することが知られています2)。   

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多発性骨髄腫に対する自家移植の治療成績

若年の多発性骨髄腫の患者さんにおいて、自家移植は抗がん剤治療単独と比べて、治療後に病気が進行せずに安定した状態でいられる期間(無増悪生存期間)を延長する 3)ため、自家移植の併用が推奨されています 1)。  

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造血幹細胞とは

血液の細胞は、白血球、赤血球、血小板の3種類からなります。これらの細胞の「種」となる最も未熟な細胞を造血幹細胞と呼び、通常は「骨髄」と呼ばれる骨の中心部分にある組織の中だけに存在します。

自家移植とは

通常の抗がん剤治療や放射線治療で十分な効果が得られない場合には、治療の強度を高める必要があります。しかし、治療が強くなりすぎてしまうと、正常な造血まで破壊され血液細胞が作れなくなってしまいます。

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言い換えると、正常な造血を回復させる手段があれば、超大量の抗がん剤を使うことができ、より高い抗腫瘍効果が期待できるということです。この方法が、自家造血幹細胞移植です。


超大量の抗がん剤治療(移植治療では、前処置と呼びます)で、造血能を失ったところに、あらかじめ採取しておいた自身の造血幹細胞を移植することで、正常な造血を回復することができるようになります。つまり、自家移植における治療効果は前処置によるものであり、「移植」は造血の障害にという非常に管理の難しい副作用への対策なのです。

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自家末梢血幹細胞採取とは

自家移植を行うためには、超大量の抗がん剤に暴露する前に自身の造血幹細胞を採取しておく必要があります。これを自家末梢血幹細胞採取と言います。通常は骨髄の中にいる造血幹細胞は、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)製剤を投与することで血液の中に一部が流れてくることがわかっています。この性質を利用して、血液中に流れてきた幹細胞を透析で用いるような機械を通して分離し(アフェレーシス)、-80℃で移植当日まで冷凍保存します。

実際のアフェレーシスの写真

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自家移植の流れ

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超大量の抗がん剤は造血能を破壊するだけではなく、全身の臓器に大きな負担をかけます。移植した幹細胞が生着(移植した血液細胞が体に根付くこと)するまでには、おおよそ10日から14日程度かかります。この期間は、白血球が存在しないため重篤な感染症に注意する必要があります。このため治療期間中は無菌室に入室していただいています。貧血や血小板減少に対しては輸血療法が必要となります。移植治療を開始して1ヶ月程度で退院することができるようになります。

参考資料:
1) 造血器腫瘍診療ガイドライン. 2018年版補訂版. 金原出版. 2020.
2) Philip T, et al. Autologous bone marrow transplantation as compared with salvage chemotherapy in relapses of chemotherapy-sensitive non-Hodgkin’s lymphoma. N Engl J Med. 1995 ; 333 (23) : 1540-5.
3) Attal M, et al. IFM 2009 Study. Lenalidomide, Bortezomib, and Dexamethasone with Transplantation for Myeloma. N Engl J Med. 2017 ; 376 (14) : 1311-20. (1iiDiii)