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ホーム  > くすりの話  > 第21話 前立腺肥大症について

第21話 前立腺肥大症について

2009年1月 磐田市立総合病院 薬剤部
前立腺肥大症は、60歳以上の男性の4人に1人に症状が出現する病気で、特に高齢者に多く見られます。生活環境や食習慣の欧米化、高齢化の進むわが国にとって増加傾向にあると言われている病気でもあります。今回は、前立腺肥大症とその治療薬について紹介します。

前立腺肥大症とは?

前立腺は男性特有の臓器で膀胱の下部に尿道を取り巻く形で存在し、ちょうどクルミ程の大きさにあたります。前立腺が大きくなり尿道を圧迫し、尿が出にくくなるのが前立腺肥大症です。男性であれば誰でも加齢と伴に前立腺は大きくなります。肥大する程度や尿が出にくくなる程度には個人差がありますが、60歳以上の4人に1人に症状が出現すると言われています。排尿がスムーズにいかなくなることで、日常生活に大きな支障をきたします。

前立腺肥大症の原因については、いくつかの仮説はありますがはっきりしたことは明らかになっていません。ただ、加齢と性ホルモンが何らかの影響を及ぼしていることは確かなようです。前立腺肥大症が50歳以降から増え始め、年齢が高くなるにつれて発症する人が多くなっていくことから、加齢が関与していることは、確実です。また、思春期前に事故などで精巣を失った男性は年をとっても前立腺肥大にならないことがわかっており、性ホルモンも何らかの影響を与えているのではないかと考えられています。

症状は?

前立腺肥大の症状には、下記に示す様なものがあります。

  1. 排尿後、まだ尿が残っている感じがする。
  2. トイレが近くなる。夜中に起床するようになる。
  3. 尿が途中で途切れる。
  4. 急に、尿意をもよおし、もれそうで我慢できない。
  5. 尿の勢いが弱い。
  6. お腹に力を入れないと尿が出ない。

前立腺の肥大が進むとひどい場合は、尿が全く出なくなることもあります。この様な状態になると尿路感染症や尿毒症などを引き起こすこともあり、腎臓や膀胱にも負担がかかります。できるだけ早期のうちに治療することが大切です。

治療について

前立腺肥大症の治療は、それ程重症でなければ、まず薬物療法を行い、それでも症状の改善が思うように得られない場合に限って手術やその他の治療法を考えるのが一般的となっています。

薬物治療

薬の効果は症状が軽いほど高く、治療せずに放置して悪化すると、薬物療法では症状が改善されない場合もあります。
尿を通りやすくする薬α1受容体遮断薬(ハルナール、フリバス、エブランチル、ユリーフ等)
前立腺の平滑筋の緊張を和らげることで、尿道の圧迫を下げ、尿を出やすくする薬です。これらの薬では血圧低下に伴うめまいやふらつきに注意が必要です。
前立腺を縮める薬抗男性ホルモン薬(プロスタール、パーセリン等)
前立腺肥大に関係していると考えられる男性ホルモンの働きを抑え、肥大した前立腺を小さくし、排尿障害を改善します。これらの薬では性機能が低下することがあります。
その他漢方薬、植物製剤(八味地黄丸、牛車腎気丸、エビプロスタットetc)
これらの薬は症状を和らげるために使われます。一般的に副作用は多くはないといわれていますが、効き目もゆるやかにあらわれます。

日常生活の注意点

日常生活では刺激の強い香辛料や、動物性タンパクや脂肪は控えるほうがよいと言われています。長時間のドライブなど、長時間座ったままの姿勢を続けると、骨盤内の血流が悪くなり前立腺が充血して尿道への圧迫が強くなるので、注意が必要です。また、便秘をさけるため繊維質のものを多くと取ったり、血行をよくするために運動をしたり、風呂にゆっくりつかることも大切です。
また、排尿を我慢すると膀胱の収縮力が弱くなり、尿が出にくくなることがあるので尿意があれば我慢しないようにしましょう。
総合感冒薬、精神安定剤、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などの中には排尿障害を増強する成分を含むものがあるため、このような薬を飲む場合は、必ず医師、薬剤師に相談してください。

参考資料アステラス製薬ホームページ