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くすりの話

第19話 糖尿病の薬物療法について


2008年7月/磐田市立総合病院 薬剤部
糖尿病の治療方法としては食事療法、運動療法、薬物療法があります。
今回は糖尿病の薬物療法について説明させて頂きます。

糖尿病の薬物療法とは、お薬によって血糖をコントロールすることにより、血糖の高い症状を改善し合併症の進行を予防することを目標としております。基本的な療法である食事療法と運動療法だけでは血糖をコントロールできない場合、薬物療法を行うことになります。

薬物療法を受ける場合、最初に意識して頂きたいことは、食事療法や運動療法を正しく継続することです。過食や運動不足などで薬物療法を行っても効果はあまり期待できません。食事療法や運動療法が正しく守られていれば、必要最小限のお薬の量で治療の効果が得られます。
薬物療法に使用されるお薬としては、インスリン注射薬と経口剤(飲み薬)があります。では、各種薬剤の作用や特徴を見ていきましょう。

1. インスリン注射薬

インスリンとは膵臓から分泌されているホルモンで、血糖を下げる働きがあります。膵臓からインスリンが分泌されない、インスリンの分泌量が少ない、もしくはインスリンが分泌されても効きが悪い場合、注射によりインスリンを補うのがインスリン療法の原則です。
膵臓から分泌されるインスリンは血糖の状態により分泌量がコントロールされており、血糖値が下がれば分泌量は自然に少なくなりますが、注射によるインスリン投与ではインスリンが全て吸入されてしまうため、自然な血糖のコントロールができず、血糖値が下がりすぎてしまう低血糖の危険があります。しかし、インスリン投与により糖尿病の合併症の進展が抑えられることが証明されており、低血糖の予防や対策をしっかり行えば安全で効果的な薬物療法といえます。
インスリン注射薬には超速攻型、速攻型、中間型、混合型などの種類があります。超速攻型と速攻型は無色透明ですが、中間型と混合型は白く濁っています。インスリンの種類によって作用発現時間や継続時間が異なっており、血糖の状態により使い分けています。
インスリン療法には正しい知識が不可欠です。現在のインスリン注射は、使い捨てのペンタイプが主流になっており、正しい使用方法と管理方法を理解しなければなりません。当院薬剤部ではインスリン注射の指導を行っておりますので、ご不明な点がある場合にはご相談下さい。

2. 経口剤(飲み薬)

次のような薬があります。それぞれの患者さんの状態により使い分けられています。
  1. スルホニル尿素(SU)剤
    膵臓のインスリンの分泌を促進して、血糖を下げるお薬です。ある程度インスリンを出す力のある人に有効です。

  2. 速効型インスリン分泌促進剤
    速やかに短時間、膵臓のインスリン分泌を促進して、血糖を下げるお薬です。ある程度インスリンを出す力のある人に有効です。

  3. αグルコシダーゼ阻害剤
    小腸での糖の吸収を遅らせて、食後の急激な血糖上昇を抑えるお薬です。

  4. ビグアナイド剤
    肝臓が糖を作り出す作用を抑制します。また、筋肉などに働きかけてインスリンの作用を高め、血糖を下げるお薬です。
  5. チアゾリジン剤
    脂肪組織や筋肉、肝臓などに働きかけてインスリンの作用を高め、血糖を下げるお薬です。

  6. アルドース還元酵素阻害剤
    神経細胞内にブドウ糖の代謝物であるソルビトールが溜まるのを抑えるお薬です。血糖を下げる働きはありません。

処方されたお薬は指示されたとおりに服用して下さい。糖尿病の薬剤療法に使われるお薬は、服用方法や服用量を間違えると低血糖や副作用をおこす危険性が高くなります。また服用方法を間違えると効果が半減してしまうお薬もあります。糖尿病での薬剤療法では、お薬の自己管理には大変気をつけなくてはなりません。食事療法、運動療法に加えて、処方されたお薬をきちんと飲み、糖尿病と上手に付き合っていきましょう。

当院薬剤師の糖尿病治療への取り組み

最初にも述べましたように糖尿病の治療は食事療法、運動療法、薬物療法が治療の3本柱ですが、それぞれの治療には専門スタッフがチームを組んで行うのが効果的です。薬剤師が糖尿病治療に加わることにより、患者さんが自分の薬の内容を正確に知り、その意味を理解することができます。また、薬に対する不安や疑問が解消されることになります。患者さんが安心して糖尿病治療を継続できるために我々、薬剤師がご協力させて頂きます。
現在、磐田市立総合病院では毎週木曜日の午後1時より「糖尿病教室」を開催しています。医師を始めとする当院の専門スタッフが1~3限目を各自担当しています。糖尿病の薬物療法のお話は1限目13時00分~14時00分となっており、糖尿病療養指導士の資格を持つ当院薬剤師2名が専属で担当しております。
糖尿病治療でお薬のことをお知りになりたい方、お薬について不安がある方はお気軽にお越し下さい。

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