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第15話 がんの化学療法について

2007年7月 磐田市立総合病院 薬剤部
日本人の平均寿命が医療技術の進歩などにより長くなる一方で、昭和56年にがんは脳卒中にかわって死亡原因の第1位になりました。その後も年々増えており、約3人に1人ががんでなくなっているという背景があります。今回は、主な治療法の一つである、がんの化学療法について考えてみたいと思います。

がんとはどんな病気なのでしょうか?

人間の体は細胞がたくさん集まってできています。その細胞が「がん化」するとがん細胞となり、体からの命令を無視して勝手に増殖をしていくようになります。また、がん細胞は周囲にしみ出るように拡がったり、血液やリンパを介して体のあちこちに飛び火して、次から次へがんの組織を作るようになります。そして、このがん細胞は体に必要な栄養を奪いとり、正常な細胞を破壊して増え続けていきます。このようにして体はがん細胞に侵されていきます。

化学療法を行う目的は何でしょうか?

化学療法とは化学物質(抗がん剤)を用いて細胞の分裂を抑え、がん細胞を破壊する治療法で、外科手術、放射線治療と並んで主な治療法の一つに位置づけられています。この治療法の特徴として、全身に作用すること、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼすこと(副作用)、がんの種類や使用される抗がん剤によって治療効果が違うことなどが挙げられます。そのために治療の目的はがんの種類や進行度などにより異なってきます。

化学療法の目的

  1. がんによって起こっている症状を和らげる。
  2. がんの進行を遅らせる。
  3. がんが転移・再発するのを防ぐ。
  4. がんを完全に治す。

どのような治療が最適であるかということには、ご自身の信条や価値観という要素が重要になると考えられます。納得して治療を行うためにも、主治医に治療の目的を確認しておくとともに、希望を伝えていくことをお勧めします。

化学療法はどのような方法で投与が行われるのでしょうか

化学療法はがんの種類や治療目的によって、抗がん剤の種類(複数の薬剤が使用されることもあります)や投与方法(点滴静脈注射、内服薬など)、投与スケジュール(週1回の点滴を3回繰り返して4週間目を休むというコースを繰り返す、2週間に1回点滴を繰り返すなど)、投与期間(可能な限り継続、コースとして何回行うなど)が異なります。その多くは外来通院でできますが、点滴にかかる時間が長いなどの理由で入院して行う必要があるものもあります。

化学療法の副作用にはどのようなものがありますか

化学療法の特徴の一つとして、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼすことがあることを挙げました。これは抗がん剤の多くが、分裂が盛んな細胞に作用するため、正常な細胞でも骨髄細胞(白血球、血小板、赤血球の元になる細胞)、口腔粘膜、胃腸粘膜、毛根などが障害をうけやすくなります。化学療法によって出現する可能性がある副作用を知っておくことは重要で、正しく対応することで効果的に治療を続けていくことができると考えられます。化学療法の副作用の多くは回復します。もし、副作用が強く出た場合は量を減らしたり、投与の延期や中止をすることもあります。

抗がん剤治療の副作用と発現時期

抗がん剤による主な副作用の発現時期
投与日アレルギー反応、吐き気、嘔吐、血管痛、発熱、血圧低下
2~7日疲れやすい、だるい、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢
7~14日口内炎、下痢、食欲不振、胃もたれ、骨髄機能の抑制(貧血・白血球減少・血小板減少)
14~28日脱毛、皮膚の角化やしみ、手足のしびれ、膀胱炎

抗がん剤投与中の注意点

抗がん剤の種類によっては血管の外側に漏れてしまうと皮膚に障害を来す可能性があります。体や腕を全く動かさずにいる必要はありませんが、点滴の管が引っ張られたりしないように気をつけましょう。また、点滴が入っている血管のまわりで異常を感じた時はすぐに看護師を呼んで下さい。

当院においても、安心して化学療法を受けて頂くために、薬剤師が薬のお話をさせていただく体制になっています。化学療法に関して不明な点や相談がありましたら、気軽にご相談ください。
出典(財)がん研究振興財団「抗がん剤治療を安心して受けるために」