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第8話 インフルエンザワクチンについて

2005年10月 磐田市立総合病院 薬剤部

毎年、冬になると関心を集める病気にインフルエンザがあります。現在ではインフルエンザウイルスに効く薬も使用されますが、インフルエンザにかかりにく くしたり、症状を軽くしたりする予防策としてインフルエンザワクチンの接種が行われます。今回はそのインフルエンザワクチンについてお話します。わが国に おけるインフルエンザワクチンの使用量は昨シーズン(2004年~2005年の冬)では1,600万本以上でした。この数年、毎年増加しています。今シー ズンは2,100万本以上を製造すると発表されています。

インフルエンザの流行は?

毎年、世界各地で大なり小なりインフルエンザの流行がみられます。寒い地方での流行は冬にみられ、北半球では1~2月頃が流行のピークとなります。
わが国の発生は毎年11月下旬から12月上旬頃に始まり、翌年の1~3月頃に患者数が増加し4~5月にかけて減少していくという傾向です。しかし夏に発生することもあります。今年もすでに7月に沖繩で流行し、インフルエンザ注意報が発令されました。

インフルエンザの予防としてマスク、手洗いは有効ですか?

インフルエンザは患者の飛沫を吸い込む以外に飛沫が付着した手指を口や鼻に 直接触れることでも感染します。インフルエンザウイルスの大きさはマスクを通過するほど小さいのですがマスクをすることで飛沫が通過しにくくなる上、手が 口や鼻に触れる機会も少なくなります。また手洗いで付着した感染性の粒子を洗い落とせば、さらに感染の危険性は低くなります。
このようなことでマスクや手洗いは有効だと思われます。これ以外にも予防のポイントとしてうがいを行うこと、十分な睡眠と栄養に気を配ること、適度な湿度を保つこと、なるべく人混みを避けることなどがあげられます。

ワクチンの接種は1回で有効ですか?

接種回数については、2000年7月31日に13歳以上では「2回」接種から「1回または2回」接種に変更されました。65歳以上の高齢者については、1回接種で十分効果があるとする研究結果が得られています。
13歳以上65歳未満については、過去にインフルエンザに罹った経歴やワクチンの接種歴を判断して決定することになります。新しい型のインフルエンザウ イルスでなければ、この世代のほとんどの人が免疫を獲得しているので、1回の接種で十分効果があるとも言われます。

小児にはどのくらいの年齢から接種を勧めるべきですか?

現行のインフルエンザワクチンの乳児特に6カ月未満における抗体反応は不良であり、接種しても感染予防に十分な抗体を産生できないと考えられています。 また、6カ月未満の乳児は母体由来の抗体のためかインフルエンザ罹患率、合併症とも低率でありインフルエンザ脳炎、脳症の発症も少ないこともあり、接種は 6カ月以上が望ましいようです。
当院では接種量が0.2mlとなる1歳以上の接種をお勧めしています。6~12ヶ月の乳児は就園状況や兄弟の有無などを考慮し相談して決めています。

ワクチン接種後どのくらいで効果が現れ、持続しますか?

成人においては接種後1週間目くらいから抗体が上昇し始め、接種後1カ月後までにピークに達し、3~4カ月後には徐々に低下傾向を示します。日本における毎年のインフルエンザ流行時期を考えると、11月末頃までに接種を終えることが最も効果を期待できると考えます。

妊婦への接種は可能ですか?

インフルエンザワクチンは不活化ワクチンといって病原性を持たないワクチンであり、胎児に悪影響を及ぼすとは考えられていません。しかし、妊娠初期は自然流産が起こりやすい時期であるので、この時期の接種は避けた方が良いでしょう。妊娠2~3期がインフルエンザの流行期となる妊婦は、ワクチンの有益性を考慮して接種します。

授乳婦への接種は可能ですか?

授乳中の方が接種した場合、母乳中に移行するワクチン成分は極めて微量であり、乳児に悪影響を及ぼすとは考えられません。乳児の感染防御という意味においても授乳婦へのワクチン接種は実施されるべきと考えられます。

卵アレルギーへの注意事項は?

高度の卵アレルギーに対してはインフルエンザワクチンの接種は不適当である場合がありますが、ワクチン中の鶏卵成分は極めて微量であり、一般的には注意して接種することが望ましいと考えられます。

接種を受けた後に注意すべき点は?

高度の卵アレルギーなどでアレルギー反応が強く現れることがあります。接種後30~45分は早期症状としての口内異常感、口唇あるいは四肢のしびれ感、 心悸亢進、悪心、めまい、胸部不快感、四肢の冷感、尿意、便意などに注意します。小児の場合は自覚症状を訴えないことが多いので、何か異状を認めた場合は 詳細に観察し迅速に診断しなければなりません。接種後30分程度はこのような症状が現れることがあるので、院内にいて様子をみてください。

ワクチンの中のチメロサールは安全ですか?

エチル水銀化合物であるチメロサールはワクチンの保存剤として含まれている物質で、世界保健機関(WHO)のワクチン安全性委員会のチメロサールに関す る最新の見解ではワクチンに含まれるエチル水銀の半減期(体内での量が半分になるのに要する期間)は1週間未満と短く、腸管から盛んに排泄されます。した がって、血中でのエチル水銀の暴露は比較的短時間であり、小児および成人における毒性を示す証拠はありませんでした。ただし、保存剤のような薬物を極力な くすことが望ましく、WHOでは可能な限り減量しチメロサールを除くことを勧告しています。わが国でもこの勧告を受け入れ、チメロサールの減量ないし除去 を行いつつあり、チメロサールを含まない製品も作られるようになっています。

以上のようなことを参考にしていただいて、接種をされることをお勧めいたします。詳しくは当院をはじめ医療機関にご相談ください。
参考資料アステラス製薬ホームページ