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くすりの話

第6話 紫外線と光線過敏症


2005年4月/磐田市立総合病院 薬剤部
春から夏に向かい紫外線が強くなる季節と言われていますので、今回は紫外線と薬の副作用について考えてみたいと思います。

紫外線って何だろう?

紫外線というのは光の一種です。光は波長によって紫外線、目に見える可視光線、赤外線というようにその呼び方が変わってきます。
その中の紫外線はさらにその波長によりUV-A(長波長紫外線)、UV-B(中波長紫外線)、UV-C(短波長紫外線)に分けることができます。そして波長が短いほどエネルギーが大きく皮膚への影響は強くなりますが、もっとも肌に悪影響を与えるUV-CとUV-Bの一部は、大気のオゾン層に吸収され地表に届きません。
つまり地表に届いて肌に影響を及ぼす紫外線はUV-AとUV-Bの一部ということになります。オゾン層が地球に降り注ぐ紫外線を吸収し、わたしたちを保護しています。このことから近年問題になっているフロンによるオゾン層の破壊がわれわれの健康にいかに重大なことかがわかります。

夏に紫外線が強くなる理由は太陽が日本にもっとも近くなる夏至のころは、オゾン層を通る距離が短く、オゾン層での紫外線の吸収が低いため、強い紫外線が降り注ぐことによります。
同じ理由で緯度により地域差がありますので同じ日本でも一般的に、北よりも南の方が紫外線量は多くなっています。一般的といったのはその土地の高度も影響し高地ほど紫外線量は多くなるためです。
紫外線量の1日の変化では正午に最大となります。これもオゾン層による吸収に関係しているためです。朝・夕は吸収される幅が長く、正午は最も吸収される幅が短いからなのです。

天候による影響では曇りの日は晴れた日の6割程度で、雨の日では約2割の紫外線になっています。このため曇りの日でも、紫外線には気をつけたいものです。
季節では晴れた日のUV-B の強さは春から夏にかけて強くなり、6、7月には冬の4倍以上になります。9月を過ぎると急激に弱くなります。気温の上昇より一足早く紫外線の季節となる春は想像以上に紫外線が強いので注意が必要です。

光線過敏症とは?

光線過敏症にはいろいろな原因があり、皮膚の症状も日焼けのように赤くなるもの、湿疹のようにかゆいブツブツができるもの、じんましんを起こすものなどさまざまです。外から体の中に入ったり、ついたりした化学物質、例えば薬、化粧品、時には食べ物や植物などに日光が反応して起こるものが多いといわれています。
光線過敏症は真夏よりも、皮膚が強い日光にさらされていない春先から初夏にかけて症状がでることが多いのです。
中には、膠原病や代謝異常が隠れている場合があるので一度は病院を受診していただくことが重要です。

薬剤性光線過敏症とは?

薬による光線過敏症では外用薬を塗った部位に日が当たるとかぶれたり、内服薬をのんだ後に外出すると、日が当たった皮膚に発疹(ほっしん)ができたりすることがあります。
内服薬、注射薬、外用剤、坐薬などいずれの剤型でも光線過敏症の原因となることが考えられます。塗り薬や張り薬など、外用薬を用いた部位に日が当たってかぶれる光接触皮膚炎と、内服薬を服用後に日が当たった皮膚に発疹ができる光線過敏型薬疹の2種類があります。
原因となる主な外用薬には、消炎鎮痛剤の一部があり、内服薬では、ニューキノロン系といわれる抗菌薬の一部、非ステロイド系消炎鎮痛剤の一部、降圧薬の一部、糖尿病薬の一部、ある種の抗がん剤などがあります。
薬剤によって起こる光線過敏症の主に作用する波長はUV-Aが原因となっているようです。

治療上必要で副作用として光線過敏症のある薬剤を処方する場合には、長時間の日光曝露を避けるように患者さんを指導します。

光線過敏症が起き、原因の薬が特定された場合には中止し、他の薬に変更しますが、この場合は、似た化学構造の薬は使用しません。

薬剤性光線過敏症の治療としては、第一に原因の薬の投与を中止すること、そして日光の曝露を避けることが重要です。その間、日中の外出を避け止むを得ぬ場 合には長袖の衣類、帽子、手袋等を着用し日傘を利用し、UV-Aまで遮光するサンスクリ-ンを塗布するなどを行います。サンスクリ-ンを選ぶ場合は製品に表示されているPA値、SPF値という値に気を付けてください。一般的に値が高いものがそれぞれUV-AとUV-Bをより防御するわけですがサンスクリ-ンそのものによる肌への影響も考えなくてはなりません。
症状によっては、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の使用が必要になる場合もあります。

光線過敏症は薬のみならずセロリ、ドクダミ、クロレラなどの食品や、化粧品、そしてサンスクリ-ンそのものによっても起こる可能性があることを念頭においておくことが必要です。
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