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くすりの話

第4話 薬と賢く付き合うために


2004年10月/磐田市立総合病院 薬局

あなたは薬のことをきちんと知っていますか?
薬を服用したり使用する時に自己判断は禁物です。医師・薬剤師の指示を守り正しく薬を使いましょう。今回は薬と賢く付き合う方法について考えてみましょう。

どんな種類の薬があるのでしょうか?

大きく分類すると、最も一般的に用いられる錠剤、カプセル剤、水薬、粉薬などの経口薬(飲み薬)があります。そして直接患部に用いるために全身への影響(副作用)を押さえることができる坐薬、吸入薬、軟膏、点鼻薬、目薬、うがい薬などの外用薬やインスリンのように患者さん自身が使うことのできる注射薬もあります。
それぞれ目的、症状、年齢などにあわせて薬の種類をきめて用いますが、どの種類の薬も指示された使用方法に従って用いることが確実な効果を上げるために必要です。

次にいくつかの注意する点について考えてみましょう。

飲み薬を飲む時の注意

最近では口の中で溶け、唾液または少量の水で飲み下すことのできるタイプの錠剤もありますが、基本的にはコップ一杯くらいの水で飲みましょう。飲む水の量が少ないと食道に薬がつかえて、食道炎になる恐れもあります。

薬の保存方法は?

高温や直射日光の当たる場所は避けましょう。冷所での保存など特別な指示がある場合には必ずその指示を守って下さい。また、小さなお子さんの手の届く場所におくことも非常に危険です。

残った薬の処理は?

医療機関では患者さんに必要な量だけ薬を処方していますが、使いきれなかった分は治療が終了したら破棄しましょう。「似たような症状が出たときに、また使お う」や「家族や知り合いで同じ様な(?)症状の時に使おう」と、素人判断で使用することは危険です。

気になる副作用について

薬を服用することで最も気になるのが副作用のことです。病気の部分だけに作用する薬が理想的なのですが、体に入った薬は全身に運ばれます。そのために正常な部位にまで作用を及ぼし副作用が起こることがあります。
また薬には病気を治すことに必要な作用だけでなく、不必要な作用も持っているために副作用が起こることがあります。
医師、薬剤師からの情報をもとに副作用に患者さんご自身が気付いたら申し出ていただき早めに対処することが大切です。また副作用を未然に防ぐために定期的な検査をして使用していただく薬もあります。
副作用に関係した最近の新聞記事によりますと、厚生労働省は医薬品による重い副作用により起きやすい病気別の診断方法や治療方法のマニュアルを作成することを決めた、とありました。
副作用の情報はこれまで医薬品ごとに集めていたため、別の医薬品で同じ副作用が出ても経験が生かされなかったことがありました。副作用の病気別のマニュアルを作ることで重症になることを防ぐのが狙いといいます。
厚生労働大臣は「副作用に、より早く気付くよう、新しい体制を1日も早く確立したい。」と言っています。
マニュアルは医薬品医療機器総合機構というホームページに掲載し、自覚症状のリストも作ることで、やはり患者さん側からの早期発見も目指すこととしています。

薬の飲み合わせ・食べ合わせについて

複数の薬を服用する時に注意しなければならないのが薬の飲み合わせです。同時に飲むことで、本来発揮する薬効よりも強くなったり、逆に弱くなったりすることがあります。このことは専門的には、「薬物相互作用」といいます。
薬の飲み合わせと同じように、特定の薬と食品でも食べ合わせという相互作用が起こることがあります。例として睡眠薬とアルコール、ある種の血圧の薬とグレープフルーツジュースなどがあります。
新たに診察を受ける場合には現在飲んでいる薬について医師に申し出ることをお奨めします。また、かかりつけ薬局を利用することも相互作用のチェックに役立つと思います。

妊娠している人や授乳中の女性と薬

妊娠初期は特に胎児に影響する恐れがあります。もちろん薬すべてが胎児に悪影響を及ぼすわけではありませんが、胎児は薬を代謝したり、排出する機能が弱いので薬を服用する必要がある場合は必ず医師に相談して下さい。
やはり、最近の新聞記事によりますと、厚生労働省は薬をのむと赤ちゃんに悪影響が出ないか心配な妊婦の相談に乗る「妊婦とクスリ情報センター」という施 設を計画している、とありました。厚生労働省では「従来は大きな薬害発生を受けて対処することが多かったが、センターを拠点に積極的な対策をとりたい」と いっています。2005年度中には東京に設置される予定で、服薬が不安な妊婦や妊娠予定がある女性や主治医からの相談に薬剤師や医師が応じることになると いうことです。
また、乳児の場合も代謝や排泄する機能が充分発達していません。薬の種類によっては母乳へ移行する恐れがあるので授乳中の人も薬の服用には注意が必要です。

古くから薬は諸刃の刃(もろはのやいば)と言われてきました。正しく使用していただき確実な効果を挙げるよう薬と賢く付き合ってください。
髙田 晃

参考資料

クラヤ三星堂 健康情報
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