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病院だより Vol.40

新磐田市立総合病院になって今年5月で10歳になります。


当院の最近の情況について



病院長 北村宏

「道しるべ」が40回目の発行となりましたのを機会に、最近の当院の情況についてふれてみます。まず医師数については、私が病院長を拝命いたしました平成15年4月の時点では研修医を含め68人でしたが、この原稿を書いております平成20年2月の時点で92人となっており、平成20年4月には100名を超えると予想されます。看護師も平成15年4月で284人でしたが、平成20年4月には370人位となる予定で、その他の医療技術職の人数も増加してきております。その分だけ、新入院患者様の数が、年々増加し、病院に求められる業務量が増えていることになります。医療機器もCTが3台、MRIが2台となりこのうち1台は3.0テスラーの全身対応機種で、大学病院等を除く、 市中病院では、全国で初めての導入となります。 施設面では昨年地域周産期母子医療センターの認定施設となることにより、当院における分娩数が増加してきたため、これに適切に対処すべく新たな周産期センターの建設を進めており、平成21年末頃に完成する予定です。またこの地域にあります当院以外の他の医療機関(診療所、病院等)との連携をより一層強めるために、それまであった病診連携室を、平成19年4月、地域医療連携室と名称を改め、規模を拡張し、スタッフも増員いたしました。これによりこれまで以上にきめ細かな患者様に関する医療情報の交換ができるようになり、診療や検査の予約状況の改善等につながっております。今後ともこの地域の医療サービスや、医療レベルの向上のために、 当病院職員一同力を合せて努力していく所存ですので、皆様方の御支援、御鞭撻の程、よろしく御願い申し上げます。

現在の創傷治療について



救急医長 宇野彰晋
「傷に対しては消毒をしてはいけません」と聞くと、多くの人がびっくりされます。19世紀に創部に対しては消毒をして傷を乾かすと膿まないという考え方が生まれ、日本では特にその考え方が定着しています。そして、けがをすると消毒をしたり、赤チンをぬる方がほとんどです。
しかし、21世紀になり、傷に対して消毒することは有効ではなく有害であるという考え方が広まりつつあり、医療者の中でもまだ意見が統一されていませんが、外科領域では創部に対して消毒液を使わない考え方が主流になってきています。もともと人間の皮膚には常在菌(皮膚にすみついている細菌)が定住しており、皮膚をたとえ消毒しても数時間もすれば、毛穴等から常在菌がでてきて消毒前と同じ状態になります。傷ついた部位では細菌と人間の細胞では、消毒液で死ぬのは細菌でなく、人間の細胞です。ですから、一生懸命消毒すればするほど傷が悪化することがありうるわけです。
たとえば、転んで膝に擦り傷ができた場合、従来の考え方だと、傷が治るまで毎日消毒してガーゼをあてておくという治療が一般的でした。現在の考え方は、まず水道水で創部をよく洗い、その部分を乾かないようにカットバンなり、透明フィルムなりをあてておきます。また、創部にワセリンを塗って乾燥を防ぐのも効果があります。これは傷からでる浸出液の中に創部の治癒を促進する成分(サイトカイン)が含まれているので、その成分を閉じこめて創部の治癒を促進させる目的です。この治療は浸潤療法や密閉療法と呼ばれています。消毒液には、傷を治す作用はなく、この成分(サイトカイン)も殺してしまうのです。
この治療は擦り傷だけでなく、褥創(床ずれなど)や痛みのある熱傷(I、II度熱傷)にも応用されています。ただ、切り傷の場合は深さや場所、出血の具合等を判断して縫合する必要があるので、その場合は医療機関への受診をお勧めします。ただし、医療機関にかかる前には消毒はせずに何かで傷を保護しておくか、可能なら水道水で洗ってから保護しておくことが無難です。
ここで紹介した浸潤療法は、適応にならない場合もあります(特に傷が化膿している場合など)し、処置のときに消毒が必要な場合もありますので、すべて消毒することが悪いというわけではありません。
最近さまざまなところでこの方法が紹介されています。興味のある方は関連した書籍も多数ありますし、インターネットでも「あたらしい創傷治療」と検索すると簡単に調べることができます。

突発性難聴について



耳鼻科医長 林理佐子
突発性難聴という言葉を最近、耳にされた方が多いと思います。歌手の浜崎あゆみが左耳がきこえなくなったと公表したことでちょっと有名になった病気です。その名の通り突然難聴になり多くの場合耳鳴も伴い、場合によってはめまいも同時に現れます。老人性難聴のようにいつからか知らず知らずのうちに耳が遠くなるのとは異なり、突発性難聴の患者さんはある日突然耳の聞こえが悪くなったり、耳鳴がしたり、耳がつまったような感じを自覚します。突発性難聴の原因は未だはっきりとはわかっておらず、耳にいく血行が傷害されて発症するという循環障害説、内耳にウイルスが感染して発症するというウイルス感染説などいろいろなことが考えられています。
原因もはっきりしないのですが、実をいうと決定的な治療法も確立されていないのです。今のところ突発性難聴に効果があるとされているのはステロイド剤、循環改善薬、ビタミン剤、高圧酸素療法、星状神経節ブロックなどです。軽い難聴なら放っておいても自然とよくなるといったケースから、患者さんに入院して頂きいろいろな薬をつかって治療を行っても、残念ながら全く聴力、耳鳴が改善しない場合もあります。高圧酸素療法というのはすべての病院にその設備があるわけではなく、また星状神経節ブロックという手技もできる医師がかぎられますが、ステロイド剤、循環改善薬などは点滴、内服などで投与でき大抵の病院で治療を受けることが可能です。
先ほどもかきましたが突発性難聴という病気は、がんばって治療を受けても難聴や耳鳴りがちっともよくならず、生涯にわたって片耳に難聴が残り、生涯にわたって耳鳴りに悩まされることになってしまうこともあります。そういった場合、患者さんもつらければ私たち耳鼻科医にとってもつらい結末となってしまいます。もちろんすべての突発性難聴が改善しないのではなく、治療に良く反応し難聴、耳鳴りがすっかりなくなってしまうこともあります。それではどういった方が突発性難聴になった場合、治療によって治るのでしょうか?一般的には突発性難聴は難聴の程度が軽く、発症からできるだけ早期に治療を開始した場合、治療が効果的とされています。あれっ、耳が何だかつまった感じがする、突然片方で耳鳴りがする、という症状が出たら、できれば一週間以内に、遅くとも二週間以内には耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。そのうち治ると思ったから、仕事が忙しくて病院に行く暇がなかったから、などといって難聴発症から二週間以上たって受診される突発性難聴の患者さんがいます。もっと早めに治療を開始していれば治ったかもしれないのに…、と外来診療の中で悔しい思いをするケースも多くあるのです。
ある日突然耳の聞こえが悪くなった、耳がつまった感じがする、耳鳴りが突然しだした、といった方は、ぜひぜひ早めにお近くの耳鼻咽喉科に受診して下さいませ。

半年の研修の中で



研修医 辻晶子
当院での研修医としての日々が始まって約半年が経ちました。たった半年ですが、さまざまな経験と出会いから多くのことを学び、充実した研修をさせていただいております。わたしは今外科系の科をローテートしているところです。
外科は毎日手術があり、体力的にきついなと感じるときもあります。しかしそんなとき、患者様が笑顔でありがとう、と言ってくださるとこの仕事を選んでよかったなと実感します。また頑張ろうという気持ちが湧いてきます。
医師として、知識や技術の向上はもちろん必要ですが、社会人として人間性の向上も必要であると感じます。わたしは半年の研修を通じて、患者様はひとりひとりが違った背景を持っているため精神面のケアも含め、その背景を考慮した多様な医療を提供できる医師になりたいと思うようになりました。医療の現場は人と人とのつながりであるというのを忘れてはいけません。
毎日患者様から学ばせていただくことばかりであり、まだまだ未熟で上級医の先生方やスタッフの方にもご迷惑をおかけすることがありますが、これからも初心を忘れず研修に励んでいきたいと思っています。よろしくお願いします。