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道しるべ Vol.38

本年5月1日から、従来の「病診連携室」を発展させ、「地域医療連携室」をスタートさせました。事務職に看護師、ケースワーカーも加わり、より充実した地域医療連携を図ってまいります。


医療崩壊



第1医療部長 吉岡宣夫
全国各地の病院で産科をはじめとする各診療科の縮小閉鎖が相次いでいます。
読売新聞によれば、救急病院は最近7年間で500以上減少しました。朝日新聞も産科取り止めが、この1年間に100病院を超えることを報じています。今年になって静岡県の各地で病院、特に公立病院の産科、小児科を含めた診療科の縮小閉鎖、救急受診制限が毎月のように報じられています。
今、医療現場になにがおこっているのでしょう。病院が診療科を閉鎖縮小するのは経営不振のためではなく医師不足によるものです。なぜ医師が足りなくなってしまったのでしょうか。その原因としてよく指摘されるのが、2004年から始まった「新臨床研修制度」です。以前は出身大学の医局に入っていた新人医師たちが多くの症例を経験できる研修環境の充実した病院に就職するようになり、大学医局に入る医師が減少してしまいました。そのため大学医局は病院に要請されても医師を派遣できなくなっているのです。
しかし、それが医師不足の真の原因ではありません。医療が高度化、複雑化する中で少ないスタッフでは勤務が過酷となり、疲弊した中堅の勤務医たちがより良い環境を求めて、民間病院へ移ったり開業したりと、次々に病院から離れているのです。そうした病院では残った医師に負担がかかり、やはり耐えがたくなって病院を去るという悪循環になっています。
当院も例外ではありません。夜間、休日を問わず病棟、救急に医師たちは全力で対応しています。休みはおろか睡眠時間も十分にとれないのが現状です。特に産婦人科、小児科は他の地域と同じく激務となっています。
こうした中で、病院が地域の医療ニーズに応えていくためにはどのような処方箋があるのでしょう。医学部定員を増やし、医師数を確保するのが根本的な解決策ですが、しかしそれには育成の時間がかかりますし、国は医療費削減を理由に医師を増加するつもりはないようです。
地域での対策としては「集約化」と「分担」という方法しかありません。「集約化」とは医師を多くし勤務を軽減させるために、いくつかの病院に重点的に配置するということです。この方法では、医師を減らされた地域では病院にかかりにくくなるという欠点があり、地域の合意が必要になります。「分担」とは、病院の受診を制限する方法です。かぜやけがなど軽症の患者を診療所、がんや脳卒中、心筋梗塞など生命の危険がある患者を病院と、重症度に応じて分担し治療することです。まずは診療所を受診し、必要があれば病院に紹介するという様にすれば、病院の負担を減らすことが可能です。これには住民の理解が不可欠です。
今、当院では近隣の医師会と協力し、病院と診療所が緊密な連携をおこなうことにより、地域全体の医療の質を向上させるとともに、この地域の「医療崩壊」を防ぐことが、地域住民の医療ニーズに応えることと考えています。病院を利用する皆様のご協力ご理解をお願いいたします。

小児の発熱



小児科医師 高橋寛吉
「先生、うちの子は昼寝の前までとても元気だったんです。ちょっと鼻水がでていたくらい。公園に行って、帰ってから昼寝をさせていたら体が熱くて、体温を測ったら40度もあります。髄膜炎ではないでしょうか?」
よく、こういった質問を受けます。こどもの熱について相談をうけるとき、たいていの親御さんが心配されるのが「髄膜炎」と「脳の障害」です。子供の熱についての心配のほとんどは、髄膜炎になって死んでしまうのではないか、重い障害を残すのではないだろうかという不安が根底にあると思います。髄膜炎についてぜひ知っておいていただきたいのは、この病気は熱だけしか症状がでないということはまずない、ということです。ほとんどの場合、熱以外にもはっきりとした症状を伴います。髄膜炎の疑いがないかどうかをチェックする質問をまとめておきます。

  1. 熱の他に激しい頭痛はなさそうですか?
  2. 足をひきずっていませんか?
  3. あごを胸につけることはできますか?(髄膜炎では首が強く硬直するため、頭を前に傾けあごを胸につけることができなくなります)
  4. 繰り返し嘔吐していませんか?(ウイルス性のかぜでもしばしば頭痛と嘔吐が起こります。しかし髄膜炎の嘔吐は普通繰り返し起こるのが特徴です。)

これらの症状が、熱(必ずしも高熱とは限らない)とともにみられたときは、直ちに受診してください。安心のために申し上げますと、髄膜炎という病気は今日では極めてまれなものです。
つぎに、高熱による脳や体への影響ですが、私たち小児科医が問題にするのは熱の高さばかりではありません。体温計が何度を示していようと、その子が家の中をよちよち歩き回り、弟からおもちゃを取り上げたり、お気に入りのミニカーを引っぱり回したり、ジュースやお菓子をねだったり、テレビをみせろと声を張り上げていれば、まず問題はないことが多いです。ただし、熱に加え次のような状態が一つでもある場合は、医療機関にご相談ください。

  1. 生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38度以上の発熱を示したとき。
  2. 熱が40度以上あり、なおかつ元気がないとき。
  3. 熱とともに、嘔吐を繰り返しているとき。
  4. 熱とともに、激しい頭痛と嘔吐があるとき。
  5. 熱とともに、歩けないほど激しい腹痛があるとき。
  6. 熱があり、ずっと泣きっぱなしで親があやしても泣き止まないとき。
  7. 熱があり、ひきつけを起こしたとき。

最後に、救急外来にかかろうかどうしようか迷ったとき、静岡県では毎日18時から23時まで、こども救急電話相談を受け付けています。原則として保健師、看護師が対応しておりますので、「#8000」もしくは「054-247-9910」まで遠慮なくご連絡ください。

支えられて…



研修医 山田浩子
三年前より臨床研修制度が始まり、私達研修医は2年間で内科・外科・麻酔科など多くの科をローテートすることになりました。四月からスタートして、現在私は一ヶ月ごとにさまざまな内科系の科をローテートしています。しかし、一ヶ月というのは本当にあっという間で、毎日が忙しく肉体的にも精神的にも挫けそうになるときがあります。そんなときに私を支えてくれるのが、患者様の笑顔です。患者様の笑顔を見ると、本当に医師という職業に就くことができてよかったと思えるのです。
こんな私ですが、小さい頃は医師という職業が嫌で嫌でたまりませんでした。実は私の父も医師で、医師という職業がどういうものかも想像できなかった私には、家にもいない、休日の約束を破るといった父の行動が理解できず、よくわがままを言っていました。
けれど、今ならそんな父の姿が理解できる気がします。そして、気がつくと医師を目指していた私の心には、きっとそんな父の姿があったのだと思います。
現在は上級医や研修医の先輩や同期、スタッフの方々、そして患者様、とたくさんの人々に支えられて充実した毎日を送ることができています。いつか私がそういった方々に恩返しができるよう、そしてより多くの患者さんが喜んでもらえるよう、今できること、目の前にあることを一生懸命がんばっていきたいと思っています。これからもよろしくお願いします。

出会い



研修医 本田さやか
私は浜松医大を卒業後、医師として最初の一歩を当院で踏み出しました。医師になる夢が叶った喜びと、これから遠大な道のりが始まるのだ…という気持ちの中、研修が始まりました。不安と緊張の混じった日々、慣れない事が多く右往左往しながらも、周囲の方々のあたたかいご指導とご協力のなか、少しずつ勉強させていただいています。
まだ医師となって日の浅い私ですが、院内では様々な方との出会いがあります。患者様の奥深くに立ち入る中で、身体面だけでなく、情緒面を含めて学ばせていただくことがたくさんあります。患者様からあたたかい言葉をかけていただくこともあり、私にとって大きな励みになっています。日々積み重なっていくひとつひとつの経験を大切に刻みこんでいこうと思います。
人生は出会う人によって大きく変わると思います。この2年間での多くの方々との出会いによって、私のこれからの医師として、社会人としての基盤が形成されていくのでしょう。医師になるという夢は、はやく良い医師になりたいという夢にかわりました。今後も情熱を持って研修に励みたいと思います。まだ至らないところも多くありますが、宜しくお願い致します。