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道しるべ Vol.37

医療安全週間には、各部署よりポスターを募集し掲示して啓蒙を図っています。


磐田市立総合病院の医療体制について



事務部長 青木壮慈朗
磐田市立総合病院がこの大久保の地に新築移転して、本年で10年目となりました。この間、病院施設の増床等や医療を取り巻く環境はたいへん大きな変化がありました。10年一昔と申しますが、開設時は16科392床でスタートし、1日当たりの入院患者数は約350人・外来患者数は約1,150人、また、医師の数は56人、看護師が240人でした。これに対して平成18年12月では、21科500床、1日当たりの入院患者数は約400人・外来患者数は約1,210人、医師の数は88人、看護師数は約320人の体制であり、市民の皆様や患者様のご理解のもと順調に運営がなされてまいりました。

医師・看護師不足について

近年、全国的に医師不足問題が深刻化しています。この背景には医師数は増加しているものの、平成16年度から始まった臨床研修制度により新卒医師が都市部に集中し、偏在しているための現象であります。また、診療科目の偏在についても特に、産婦人科・小児科の医師が不足しており、深夜の緊急コール・激務等により開業する医師もあることから減少する状況となっています。
また、看護師についても診療報酬にかかる施設基準の改定により、多くの急性期医療を担う病院は高度で安全な医療サービス向上を目ざすための看護師増員の確保対策が急務となっています。このため、全国的にも看護師の不足が顕著になっています。
当病院においても、これらの影響を受けていますが、幸いにも、非常事態には至っていませんので引き続きより安全で安心な医療体制で臨んでいきたいと考えています。

安心してお産のできる病院

磐田市立総合病院でのお産については、5年前の平成14年度の分娩件数は月平均48件で年間575件でした。平成18年度の月平均の分娩件数は90件を上回る数で年間約1,100件を超える状況となりました。この数は、県西部地域でも上位であり、全国で産科が休診に追い込まれている中、当院では産婦人科医師4名・小児科医師5名が万全の体制で妊婦さんをむかえています。今後は現在の施設・設備をより充実させ、産婦人科・小児科が緊密に連携できる高水準の周産期医療を担う母子センターの整備を計画して、特色ある病院づくりをしていきたいと思います。

地域完結型の医療体制

磐田市は合併して3年目を迎え、総合計画の方向性が決定しました。病院では今後、身近な医療の提供者である地域の診療所やかかりつけ医との病診連携の強化を進めることで地域完結型の医療体制の構築をめざしてまいります。また、救急医療体制の充実を図り、高機能で専門化した急性期医療の提供をすることにより、当院の使命を果たしてまいりたいと考えています。

泌尿器科のさらなる向上と展望



泌尿器科長 宇佐美隆利
私が泌尿器科医を志して既に20年余りが経過しました。この間、泌尿器科の疾患に対する診療体系は急速に発展し驚くほどの変貌を遂げています。尿路結石は以前、開腹手術が行われておりましたが、20年前に衝撃波を利用した砕石手術が導入され、現在、開腹手術はほとんど行われなくなりました。前立腺癌に関してはPSA(前立腺特異抗原)の測定の普及により早期に発見される場合が大半を占めるようになり、その治療法も10種類以上あるともいわれております。一部の施設では腎臓癌や前立腺癌に対して内視鏡下手術やミニマム創手術も行われており、またバイアグラなどの性機能改善剤が勃起障害の治療を革命的に変化させ、腎不全治療も血液透析、腹膜透析、腎移植術の進歩で生存率が高くなりました。

泌尿器科医が取り扱う疾患は、上皮小体(副甲状腺)や後腹膜・副腎から尿路(腎・尿管・膀胱・尿道)および男性生殖器(前立腺・精巣・陰茎)に発生する先天異常・良性および悪性腫瘍・炎症、尿路に発生する結石・外傷、また排尿機能障害、性機能障害、尿失禁などであり、治療に関しては外科手術の他に薬物治療など内科的方法も併用しています。

特に力を入れているのは尿路性器悪性腫瘍の治療であります。浸潤性膀胱癌に関しては、膀胱全摘除術+尿路変向術が標準治療でありますが、十分なインフォームド・コンセントをとった上で、膀胱温存を試みるべき治療として、内視鏡手術に抗癌剤と放射線治療を組み合わせ化学放射線療法も選択肢の一つとして考えています。再燃前立腺癌に関しても、新規抗癌剤を使用し生存率の上昇に貢献していると自負しており、これは既に開設されています当院での外来化学療法室での通院による癌治療を行っております。今日、癌に関連する遺伝子の同定やこれを標的とする創薬の開発が進められ、いわゆるオーダーメイド医療の実現が現実味を帯びてきています。他方、患者様の自己決定権や精神面に十分配慮し、QOL(日常生活を元気で快適に送ること)を高める癌医療を実践することが強く要請されているのも事実であります。これら両面からのアプローチによる治療が当科の理想とする癌集学的治療と考えております。

尿路結石症の9割以上の患者さんは外来通院によるESWL(体外衝撃波結石破砕術)で治療を行っております。砕石不十分あるいは砕石不能といった難治例に行われる細経尿管鏡(軟性鏡あるいは硬性鏡)を用いたEHL(電気水圧衝撃破砕装置)による結石の破壊はテレビ画面を見ながら手術室で行います。尿道から入った細経尿管鏡を通して超小型テレビカメラが膀胱、尿管、腎臓の内部を順次映し出します。結石を見つけると電気水圧波を発射し、一瞬の閃光とともにこれが破砕されます。破壊されずに残った小さな石は細経尿管鏡の先端からでる種々の鉗子がこれを体外につかみ出し、除去されます。

人口の高齢化といった要因も含めて、排尿障害を訴える人が増加しています。排尿障害をきたす疾患・病態は非常に多岐にわたり、頻尿や尿失禁、排尿困難など排尿障害の最大の問題点はQOLを損なうことであります。適切な検査と適切な治療により“治療によるQOLの向上”を目指しています。

高齢化が進み、疾患の様相も大きく変化してきています。泌尿器癌や排尿の問題が社会的に注目され、我々の責務は多大なものと実感しております。地域の基幹病院として、今後も泌尿器科疾患の高水準の医療を目指すとともにより苦痛の少ない検査・治療および予防を心がけてまいります。

あこがれ



外科 菊池大和

アルベルト・シュバイツァー博士

小学6年生の時です。たまたまテレビで放送していたある一人の外国人に興味を持ち、本屋で伝記を買いました。神学者、哲学者、音楽家であった彼は、アフリカの貧しい黒人のために30歳から独学で医学を学び、38歳の時に一人アフリカに旅立ちました。小さい小屋をみんなで造り、彼と患者さんたちは一緒になって医療をしたそうです。アルベルト・シュバイツァーにあこがれを抱きながら、私は無事(?)医師になることができ、今こうして磐田市立総合病院で働いています。


私が所属しているのは、外科です。現在は一般外科という分野で主に消化管の病気を診ています。将来は呼吸器外科を専攻したいと考えていますが、体全部を診られるようになるために、日々勉強に励んでいます。頼れる外科医が周りにたくさんいて、恵まれた環境で勉強させていただいています。

私の大学のときの先生から聞いた話があります。ドイツのある病院では、患者さんが診療室に入ってくると、医師は立って笑顔で迎え入れてあいさつをするそうです。確かに難しい顔をしている医師の前では、言いたいことも言えなくなってしまいます。患者さんとすれちがう時でも「やあ!」って言うそうですが、こんなこと日本でやったら、「何だ、あの医者は!」とおこられてしまうのかもしれません(笑)。

「病気を見るのでなく、人間を診る」。人間誰だって、病気になりたくないし、病院なんか来たくありません。何で自分ばっかり、と思うのは当然なことと思います。その人には、親がいて、子どもがいて、家族がいる。過去があり、未来があります。そういうことを全て考えることが必要です。ただ病気を治して、「はい、さようなら」とはいきません。医師は、それぐらい重い責任がある職業だと考えています。病める人がいるから、医師、看護師が存在します。医師、看護師だけが病気を治す時代は終りました。できるだけ患者さんが何を考え、何をしたいか。患者さんと一緒になって、病気に立ち向かっていく。だから、考えていること、したいことを、医師、看護師にどんどん言ってください。私たちと一緒になって、やっていきましょう。これからもよろしくお願いいたします。

医療安全推進室の役割



医療安全担当師長 平野一美
私は平成18年4月に医療安全推進室の専任の看護師長として就任し、医療の安全を推進していく仕事をしています。

当院では数年前から、全ての職種から「ヒヤリ・ハット報告」を収集しています。「ヒヤリ・ハット報告」とは、患者さまへは害を及ぼすことはなかったけれど、医療や看護を提供する中で「ヒヤリ」「ハット」したことを報告するシステムです。医療安全推進室では収集した「ヒヤリ・ハット報告」を分析し、作業の工程を見直し、大きな事故に至らないような工夫をしています。

しかし、「人間はだれでも間違える」と米国医療の質委員会で提言されているように、どんな努力を持っても、完璧な人間はありえません。現在医療界では人は間違えることを前提として、システムを構築させるような様々な安全な医療機器が開発されています。

たとえば、栄養を入れるためのチューブと点滴のチューブの規格を分け、間違って栄養剤が注射できないシステム・患者さま間違いを防止するためのネームバンドやバーコードシステム・似た名前の薬剤名の外観の変更・点滴ルートの規格の統一化等々です。当院でも積極的に安全と思われるシステムを取り入れています。

そして「医療の安全」とは、医療者と患者さまが一体となり協力し合って築いていくことが重要です。当院では、患者参加型医療を推進する手始めとして、患者さま自身にお名前を名乗っていただき、間違いを防止することを始めています。さらに検査や治療を受ける中で、必要性・方法・起こりうる副作用や合併症などの疑問な点、またそれらが正しく行われているかの確認を患者さま自身が容易に行えるような環境づくりを目指しています。

医療安全推進室では、今後も「より安全な医療や看護」を提供できるようにさらに努力していきたいと思います。