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道しるべ Vol.35

当院では、幅広い基本的臨床能力を身につけることを目的とし、新医師の臨床研修を行っています。


良医を育てる



理事 寺田雅彦
近年、日本の医療技術の進歩にはめ ざましいものがあり、今まで診断・治療が困難であった多くの難病が治療可能になりつつあります。また、世界保健機構は日本を「世界で最もすぐれた医療シス テムを持った国」と公式な声明を出していますし、皆さんもご存知のとおり、日本は世界一の長寿国です。

それでは、「当然、日本の臨床医学の水準、すなわち日本の医師の臨床能力は世界一」でしょうか?答えは「ノー」です。残念ながら、日本の臨床医学の水準 が欧米や一部のアジアの国々に比べても大きく立ち遅れていることは紛れのない事実です。もちろん、ある特定の分野においては日本の方がすぐれていることも ありますが、個々の医師が有する臨床の総合力という面ではかなり劣っていると考えられています。

それはなぜでしょうか?原因は従来の日本の医学教育にあると言われています。例えば眼科医になる者は医学部を卒業すると同時に大学の眼科学講座に入局 し、眼科のみに特化した臨床教育を受けてきました。したがって、内科や外科、小児科、産婦人科といった総合的臨床知識やすべての医師に必要な基本的臨床能 力を修得する機会がなかったのです。市民の皆さんからすれば、そのような教育は、6年間の医学部教育で当然なされているはずだと思われるでしょう。しかし ながら、最近まで日本の医学部教育では欧米のような実地教育としての密度の濃い臨床教育が十分なされていなかったのが実情です。言い換えると日本の医学教 育は細分化した分野ですぐれた専門医を育ててきましたが、幅広い臨床能力を持つすぐれた臨床医を育てることが出来なかったのです。もちろん、医療が専門化 していくのは、進歩していくうえでの必然ですし決して悪いことではありません。しかしながら、専門細分化しすぎた現代の医療が国民の医療人に対する幅広い ニーズにこたえるだけの力を失い、最近の医療不信の増幅の原因になったと考えられます。

このような日本の医学教育の問題点を抜本的に改革するために、厚生労働省は36年ぶりに医師の研修制度の改革を行い、平成16年度から「新医師臨床研修 制度」をスタートしました。この制度では、今まで「努力義務」に過ぎなかった卒後2年間の臨床研修を必須化し、すべての医師が研修指定病院で、整備された 研修プログラムのもと幅広い基本的臨床能力を身につけることを目的としています。今後、この制度から育った医師たちが、日本の医療をよりよい姿に変革して くれると思います。

そんななか、磐田市立総合病院でも今年の4月から8名の研修医たちが研修を開始しています。彼らは、当院の研修プログラムに魅力を感じ、日本中にある数 多くの研修プログラムから当院で研修を受けることを選択してくれた者たちです。南は宮崎、東は東京と全国から集まってくれました。彼らは「より良い医師に なりたい」といった高いモチベーションを持ち、何といっても将来の夢と若いパワーにあふれた素晴らしい若者たちです。当院としても全面的に彼らの成長を バックアップし地域の医療、ひいては将来の日本の医療の担い手として大切に育てていきます。市民の皆さんもご理解、ご協力をお願いします。

かけだし産婦人科医日記



専修医 長橋ことみ
「○○さん、お疲れ様でした。おめでとぉございま~す!!」身支度を整え分娩室を出る産婦さんと、向かい合って握手。この瞬間がたまらなく幸せなんです、毎日。

研修医時代2年間のうちの1年間を北海道で過ごし、そこでの運命的な(?)出会いから、産婦人科の道に入りました。それからというもの、何かにとり憑かれたかのように、日々この世界に惹き込まれています。

お産ひとつにしても「毎日見ていることだから」なんてとても言えないくらい、毎回が特別な経験です。赤ちゃんが生まれてくることへの期待、ママを励まし たり時に安心させたりといった温かな一面と、それとは裏腹に、母児2つの命を預っている緊張感、元気な状態で児を娩出するためにどのタイミングで何をすべきか一瞬たりとも気を抜けない緊迫した一面。両者が渦巻いた特殊な空気があります。そんな中、産婦さんと赤ちゃんと御家族とスタッフが皆で一丸となって、 大事な命が生まれてくる…。なんて素晴らしい瞬間!!こんなに毎日、感動させてもらえるなんて、なんて幸せな職業!!

もちろん、幸せいっぱいな方ばかりではありません。流産、早産の危険があって入院される方、意を決して婦人科手術を受ける方などなど、私と出会う状況は それぞれです。胸の内に秘めている不安や期待はさまざまだと思いますが、日々の仕事に追われ、残念ながら全ての患者さんとゆっくり向かい合う時間がないの も現実です。私のホンキの想いをどう患者さんに伝えればいいものか…そこで始めたのが「握手」。嬉しいことにこの瞬間だけは、産科・婦人科を問わずどんな患者さんも、私の目を見てしっかり握り返してくれるのです。どんな言葉より確かに「ココロのつながり」を実感できるひとときです。

今では私の中で恒例となりつつある、産後の握手。長い妊娠、分娩を乗り越えた事への尊敬の念と、これからの子育て生活へのエールを込めた本気の握手。今 後も出会った患者さんの数だけ正面から向かいあって握手をしていこう。握手の数だけ毎回襟を正して1歩ずつ成長しよう。

…熱いキモチをココロに秘めて、今日もまた元気いっぱいお産をとるのです。「はい、深呼吸して、がんばってぇ~!!」

ワールドカップと臨床研修



研修医 岩瀬俊明
先日のFIFAサッカー ワールドカップでは、ジーコジャパンは惜しくも決勝トーナメント入りを逃してしまいましたが、多くの勇気と感動を私たち日本国民に与えてくれました。かた や、まだ記憶に新しいワールドベースボールクラシックでは、王監督率いる日本代表は逆境を跳ね除け、見事日本優勝!というこれ以上ない結果で有終の美を飾 り、日本中が興奮に沸きかえりました。どちらも素晴らしい感動を私たちに与えてくれたのですが、サッカー日本代表が世界にあと一歩、というところで手が届 かなかったのはどうしてでしょうか?サッカーに対して熱い思いのある磐田市民の方々にはそれぞれ御意見があるかと思いますが、私は野球が長年培ってきた歴 史と、昔からの野球に対する国民の理解が優った、と思います。確かに今ではサッカーも中田選手から始まり、海外のクラブチームに移籍し活躍する選手も多く なるにつれ、年々競技レベルは世界レベルに近づいてきていると思います。しかし、王・長島世代からの脈々と続く日本野球の歴史・教育の方が一枚上回ってい た気がするのは私だけでしょうか?

さて、今までの日本の医学教育は世界の標準から大きく立ち遅れてきていたと、マスコミなどでも盛んに言われています。そのことを踏まえて、私たちの年代 から研修医制度が始まり、日本での研修医教育の歴史が改めてスタートしました。しかし現状ではまだまだ試行錯誤の段階で、多くは各病院の研修担当をしてい る医師の裁量によりプログラム内容に違いが出ているのが現状です。そのような中、私は研修担当の寺田先生の教育に対する熱意に惹かれて本病院を選びまし た。現在は日々努力しながら患者様方から多くのことを学ばさせていただき、充実した毎日を送っています。しかし、どんなに教育制度が素晴らしくても、私た ちが一人前の医師になるために一番必要なものは、僭越ながら患者様方の温かい理解であると思っています。患者様方の理解がなければ私たちの医療は成り立た ず、気持ちの通わない医療は味気ないものになってしまうからです。

臨床研修に決勝トーナメントや優勝杯などの輝かしいゴールはありませんが、私たち研修医8名は熱意を持って一生懸命医療を行い、少しでも患者様方に信頼 され、また助けになれることがそれらと同様に価値のあることだと信じております。まだまだ至らないところもあるかと思いますが、これからもご指導の程よろ しくお願いいたします。

臨床研修を終えて



専修医 森和貴
2004年度からの臨床研 修制度の第1期生として、2年間の臨床研修を行った私達も、卒後3年目となり、それぞれが専門の領域に進み始めました。私は浜松医大を卒業後、2年間のうちの1年間(外科、麻酔科、産婦人科、小児科)の研修を当院で行い、再びこの4月から専修医として当院に参りました。

この「専修医」という言葉はあまり聴き慣れないものだと思いますが、2年間の臨床研修を終えた卒後3年目の医師を指す当院の職名です。他には「後期研修 医」という名前で呼んでいる病院もあります。卒後2年間の初期研修以降については法律で決まっている訳ではなく(そのため呼び名も色々です)、各病院でそ れぞれ独自の方針があり、私達はその下で専門を目指して研鑽を積んでいく事となっています。当院ではこの4月に10人の専修医がともに赴任いたしました。 私を含め3人の内科系専修医は病棟や救急外来での診察を中心に行いながら、内科全般とそれぞれの専門領域についての勉強をさせて頂いておりますが、困った ときに気軽に相談出来る他科の同期の存在は心強く思います。

さて、私達の世代から始まった臨床研修制度は最近の各地での医師不足と関連付けて報じられることも多く、一部の診療科にしか人が行かないような印象を持 たれている方もいらっしゃるのではないかと思います。確かに、これまでと違い研修で実際にその科の診療に携って、自分の思っていたものとの違いに尻込みす ることもあるかも知れませんが、逆に学生の頃には全く考えていなかった科に、進路を変えた同期も少なからずいます。まだまだ臨床研修制度は始まったばかり ですので、優しく、時には厳しく見守って頂ければと思います。

自分自身まだまだ未熟で、皆様にご迷惑をお掛けすることも沢山ありますが、後輩の研修医達と上級医との間で、私達専修医がうまく橋渡しをしてよりよい病院にして行ければと思っています。

地元磐田での研修



研修医 阿部包愛
2006年4月より当院に て御世話になってから数ヶ月が過ぎようとしています。まだまだ初めてのことばかりで慣れない毎日を過ごしてはいますが、医師としてこの病院でスタートをき れたことは、自分にとってとても光栄に思っています。私は高校まで磐田におり、小さいころの思い出はすべてこの地で培ってきました。当然当院には旧病院時 代から通った覚えがあり、大学時代こそ県外で暮らしていたものの、地元にもどって医療を実践していくことにあこがれていました。

この春晴れてその夢を果た すことができ、今度は自分がこの地域のために貢献する番だと考えています。まだまだ技術的にも人間としても未熟者で至らない点も多くありますが、この病院 にいらっしゃる多くの優秀な先輩、そして地元市民の皆様のもとで日々勉強に励んでいきたいと考えています。

今後ともどうぞ宜しくお願い致します。