グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


ホーム  > 病院だより・道しるべ  > 道しるべ Vol.30

道しるべ Vol.30

12月18日に当院1Fロビーにてクリスマスコンサートが盛大に開催されました。

磐田市立総合病院では夏のサマーコンサートと合わせて年に2回、コンサートが開催されています。入院中の患者様が音楽を通して、少しでも気持ちがいやされ、元気になっていただきたいと思っています。


日本の医療を考える



病院長 北村宏
“道しるべ”が30回目の発行となりました。これを期に日本の医療の現状、特にその問題点についてふれてみたいと思います。日本で年間使われている医療費は約30兆円ですが、その財源の内訳をみてみますと、本人保険料30%、事業主保険料22%、本人負担15%、国庫負担25%、地方行政負担8%となっております。

それではこの年間30兆円は医療費として高いのでしょうか、安いのでしょうか。国民一人当りの年間医療費を国際比較してみますと(1996年)1位スイス45万円、2位アメリカ42万円、3位ドイツ32万円で、日本は7位で28万円となっています。しかしこれがGDP(国民総生産)の何%にあたるのかをみてみますと、1位アメリカ14%、2位ドイツ10.5%、3位スイス10.2%で、日本は19位7.2%となります。一方WHO(世界保健機構)は世界各国の医療を様々な面から評価し、格付けして発表しており、日本は第1位に評価されております。その理由は、日本は世界で最長寿国であり、乳幼児死亡率が最低で、国民皆保険制度のもと、いつでも誰でも自分の選んだ医療機関を受診することができ、医療費も非常に安く、医療水準も高いと評価されているからです。以上から言えることは、日本の医療費は提供している医療の質からみても、決して高くはなくむしろかなり安いということです。

更に問題なのは日本においては、医師、看護師などの医療従事者の数が、欧米先進国と比べ極端に少ないことです。例えば人口10万人あたりの医師数で比べると、フランス350人、日本201人です。またアメリカのボストンにある350床の病院と、日本の310床の某国立病院を比べると、病院職員の総数では2,011人と200人、医師は371人と39人、看護師は620人と85人、看護助手は64人と15人、栄養士は120人と7人、レジデント(研修医)は113人と0人、秘書は90人と0人で驚くばかりの差があります。にもかかわらず、国は医師看護師の数を増やそうとはしません。増やせば人件費がかさみ、医療費の増加につながると考えているからだと思われます。結局WHOが世界一と評価する日本の医療は、病院で過酷な労働条件のもと、患者さんのために必死になって働いている医療従事者の、多大なる犠牲によって成り立っていると言えます。医師看護師をはじめとする医療従事者の数を、欧米なみに増やすことにより、医療者側と患者様とのより良いコミュニケーションを築き、医療事故を減らし患者様が精神的に満たされる医療を提供することができると思っております。

以上述べてきたことを行うには、抜本的な医療改革が必要ですが、厚労省は依然として医療費の総額抑制にばかり走り、医療をよくするにはどうしたらよいかという根本的な問題には触れようともしません。このことは医療を行う側の人達だけではなく、医療を受ける側の人達も含めて、広く真剣に議論する必要があると思っておりますが、いかがでしょうか。

広報・地域活動委員会について



看護部長(広報・地域活動委員会委員長) 宮地 洋子
広報地域活動委員会は、3つの部門からなりそれぞれの活動を行っています。
1院内広報誌‘道しるべ’を4月・9月・1月と年3回発行しています。‘道しるべ’は院内のみならず、近隣病院・企業の診療所・医師会・薬剤師会等に配布しています。
2‘やさしい健康教室’を年18回開催し昨年度は339人の人達が聴講してくださいました。内容は下肢静脈瘤・てんかん・パーキンソン症候群・膝痛等についてでした。毎回出席の方々から活発な質問もあり有意義な教室になっています。
3サービス向上委員会の活動としまして
  1. 患者様の満足度調査を外来・病棟にて隔年で行っています。今までの結果では、外来は待ち時間の工夫、病棟では質の高い医療・看護を要望されています。外来での待ち時間については医師、クラークの増員、中待合室にパンフレット、壁に写真や絵等の展示により癒しの空間作り等わずかずつですが努力しております。‘質’については卒後教育の充実に力を入れて着実に成果が上がっていると思います。
  2. 職員より接遇の標語を募集し毎月各部署に配布しています。
  3. 看護職員のCS委員と合同で月1回朝の職員へのあいさつ運動を行っています。
  4. 患者様に生の演奏を聞いていただく為に、サマーコンサート・クリスマスコンサートを年2回開催しています。2回のコンサートには、有志の市民の方々・北高生・職員と多くのボランティアの協力で6年間続いています。表紙は昨年12月18日のクリスマスコンサートでの演奏風景です。ストレッチャー・車椅子・歩行できる人…約80人がリコーダー・オカリナ・合唱等の素晴らしい演奏をたっぷり1時間堪能されました。懐かしいメロディーに口ずさむ人、中には感激の余り涙を流される人、いつもの表情とはちがう生き生きとした姿に接することが出来ました。その他、院内教育研修会の中で接遇の講演会を年2回行っています。

以上3つの活動を紹介させていただきました。今後も院内外で、より充実した活動をと考えています。何かご意見がありましたらおよせ下さい。

関節鏡について



整形外科医長 坂田悟
関節鏡は関節腔内部の状態を観察する一種の内視鏡といえます。この関節鏡の開発は、もともと日本人医師が膀胱鏡を使って膝関節腔内を鏡視したことにはじまり、その研究に関しては1918年までさかのぼります。世界的には1970年代になって初めて欧米諸国に広まっていきました。

関節鏡はいわば“関節カメラ”であり、その役割は診断のための手段であったのですが、すぐに治療の面でも大きな役割を果たすようになりました。関節切開により従来なされていた各種の関節の手術が、関節を切開することなく、また関節の構成要素に対する侵襲を最小限に抑えつつ関節内の手術操作が行えることは、手術を受ける患者さんだけでなく我々臨床医にとって大きな魅力となりました。また早期社会復帰を期待するスポーツ外傷の増加に伴って、時代の要請としても鏡視下手術の需要は急速に増加しました。さらには関節鏡機器の発達に伴い、膝関節のみならず肩関節、肘関節、手関節、股関節、足関節にまでその対象関節は広げられ、近年の最小侵襲手術の需要から脊椎外科領域にまで鏡視下手術は広まっています。

関節鏡における手術の対象としてもっとも頻度の高いものは、やはり膝関節でありその具体的な疾患としては、半月板損傷を筆頭に滑膜炎、タナ障害、前十字靱帯損傷、軟骨損傷、関節内腫瘍、関節内遊離体などがあげられます。これらの疾患を鏡視下に診断することは、もはや必須のこととなりつつあり、いかに鏡視下処置をおこない最小侵襲手術としていくかが我々のテーマといえます。

サッカーやラグビーなどで損傷が多い前十字靱帯損傷に対する鏡視下手術は、特にスポーツ整形外科領域では過去10年間いつもトピックスであり、常に議論されています。その議論とともに医療をおこなってきた私にとっては関節鏡器具の発達と鏡視下手術手技の進歩が飛躍的に進んだことを実感しています。

しかし、関節鏡・鏡視下手術にも盲点や難点がないわけでもなく、本来なら観えない部分まで観える分“木を観て、森を観ず”という状態に陥る可能性があることや、その処置において本来3次元構造の関節内を2次元のテレビモニターを見ながら手術を行うことは顕微鏡下手術との大きな違いで“深さ”の想像力が必要といえます。簡単なようで難しく、奥が深いのが関節鏡ともいえます。

最後になりましたが「スポーツのまち=磐田」の中で、ヘルシー・トピアを掲げる当院の一環として関節鏡手術を有効な治療の一つとして診療していきたいと思います。