グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


ホーム  > 病院だより・道しるべ  > 道しるべ Vol.27

道しるべ Vol.27

病診連携室を病院正面玄関横に設置しました。病診連携室では、医療機関からご紹介いただく患者様の診療予約などを行っております。病診連携室を利用するには、かかりつけ医からの紹介状が必要となります。現在、かかりつけの診療所等にご相談ください。


診療機能分担 (病診連携)



副病院長 林雄一郎
「医療費高騰」「3時間待ちの3分診察」等と以前から言われています。一人に限れば一時の事で仕方ないと思われがちですが、全体となると大問題で皆様の不利益となります。国(厚生労働省)は医療機能の分化、病院と診療所(開業医)・医療と介護の区別、医療費個人負担3割(負担上限設定あり)の導入を進めました。

当院は病床数500床、外来患者数1日千数百人を担っています。根拠に基づいた医療(Evidence Based Medicine)で納得診療(Informed Concent)を行っていますが、患者様一人にも十分な配慮と時間を要します。しかし、残念なことに現状では不足がちです。欧米に比べ医師、看護師等の負担が多いのは周知の事と思います。

そこで、国も入院が本当に必要な患者様、病院でなければ困る外来の患者様に重点を置くよう方針を決めています。「直ぐに何でも大病院へ」とは限りません。

診療所は専門性や総合診療能力を具えた医師が住民の健康情報を把握して対応できる所です。家族で「かかりつけ医」を持ち、必要となれば紹介状を書いてもらい、予約の上、病院で高度医療機器による検査や専門的な判断を受け、治療の上、安定した時点で報告書を持って再び診療所で治療を続けるのが良いと思います。

現在、当院の外来への紹介率が約20%、平均入院日数は約20日ですが、これを30%以上、17日以内としたいと考えています。こうすれば患者様の時間や労力も省け、医療を提供する側も必要な診療がし易くなるでしょう。

9月から当院では「病診連携室」を設置、病診連携や診療所医師との入院共同診療を更に進めています。

皆様の要望に沿えるよう、より良い医療を進める努力をしています。御理解、御協力を御願いします。

追記 :
「診療の機能分担」を題に平成16年2月7日(土)午後2時00分~4時00分
ワークピア磐田で公開シンポジウムを催します。皆様の御参加をお待ちしています。

腎臓の働き



内科科長 山下冬樹
私たちは、生きていくために毎日食事をしています。食べたものは体の中で利用され大部分は水や炭酸ガスとなりますが、蛋白質からは窒素代謝産物といわれる老廃物がつくられます。腎臓は、こうした老廃物・余分な水分・ミネラルなどを尿として排泄し、からだの中の環境を一定に保つ働きをしています。それ以外にも腎臓はいろいろなことを行っていますが、腎臓の主な働きをまとめてみました。

腎臓の働き
  • ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン)や、水を調節する。
  • 酸や老廃物を排泄して体を一定に保つ。
  • 血圧を調整する。(レニンという昇圧物質を産生する。)
  • 血液(赤血球)の量を調整する。(エリスロポエチンという造血ホルモンを産生する。)
  • 骨の健康を維持する。(ビタミンDを活性化する。)

腎臓は背中に2つある250g程度の臓器ですが、1分間に1リットルもの血液が流れ込んでいます。血液は腎臓の中で糸球体と呼ばれる毛細血管の束を通過し、このとき血液がろ過されて尿がつくられます。血液から1日140リットルもの原尿が作られますがそのほとんどは腎臓の中で再吸収され、体外に尿として排泄されるのは1リットル程度です。

腎臓の働きが障害されると、腎臓では尿をつくる能力すなわち血液をろ過する能力が障害され、体にいろいろなものが蓄積してしまいます。水やミネラルが貯留すると体にむくみが生じ血圧が上昇します。酸や老廃物の蓄積では食欲がなくなり、ひどくなるとけいれんが起きることもあります。また造血ホルモンが不足し貧血が進みます。こういった症状を‘尿毒症’とよび、この状態を‘腎不全’といいます。腎不全は進行する早さで急性腎不全と慢性腎不全に分けられますが、原因によって治療法や予後が異なります。急性腎不全は、数日で発症し症状も出やすいのですが、しっかり治療されれば腎臓の働きは元に戻ります。一方、慢性腎不全は、数年から十数年かかって徐々に進行し、症状の出ないことが多く腎臓の働きは元には戻りません。

慢性腎不全の原因としては、慢性糸球体腎炎や糖尿病がありますが、これらの病気は自覚症状に乏しく無症状に進行することが多いのです。しかし、尿検査を行い、血尿・蛋白尿・尿糖といった異常から発見することができます。私たちが学校や職場の健診で尿検査を行っているのはそのためなのです。

無症状に進行する腎臓病を見逃さないためにも、みなさん健診を受けましょう。

小児のインフルエンザの予防接種について



小児科医長 鈴木東洋
今年もインフルエンザの流行する季節がやってきました。インフルエンザはかぜに比べて症状も重く、人から人に感染して、短期間に多くの人々がかかってしまうため注意が必要です。さらに小児で深刻な問題になっているのは毎年約100人のお子さんが死亡しているインフルエンザ脳炎、脳症です。このインフルエンザを防ぐ有効な手段は現在のところ予防注射しかありません。

ウイルスは細菌よりとても小さいため、細胞に入り込み自分の仲間を増やしていきます。体の中でウイルスが増えてくると、私たちの体は免疫反応によりウイルスを排除します。この免疫反応の過程で抗体と呼ばれる免疫物質が作られます。最初の免疫反応には数日間かかります。かぜやインフルエンザの熱が数日続くのもこのためです。一度作られた抗体は体内に保持されます。同じウイルスが2回目に体内に侵入した時には、この抗体の働きによりウイルスを排除してしまうため再度感染することはありません。この免疫機能を利用して、インフルエンザウイルスの一部分(ワクチン)を人為的に注射して、インフルエンザウイルスに対する抗体を作っておき、侵入したウイルスを排除できるように備えておくことがインフルエンザの予防注射の目的です。

感染から体を守っている抗体には、主に鼻やのどの表面を守るIgA型抗体と血液の中を流れているIgG型抗体などがあります。予防注射によって作り出される抗体は基本的にはIgG型抗体なので、ウイルスの侵入経路である鼻やのどの表面を守る力は強くはありません。そのため予防注射をしてもインフルエンザにかかってしまう場合もあります。そのような場合でも、予防注射をしていれば、鼻やのどの表面から血液中に入り込んだインフルエンザウイルスに対してはIgG型抗体が働くため、症状が軽く済みます。また、インフルエンザ脳炎・脳症などの重篤な合併症をおこしにくくすると考えられています。

インフルエンザワクチンによって作り出された抗体は徐々に減ってしまうため、翌年の流行期には効果が薄れています。そのため毎年ワクチンを接種してインフルエンザへの抵抗力を維持しておく必要があります。