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道しるべ Vol.25

年をとると、力も落ち、体が固くなり、あちらこちらに痛みが出てきます。
根本的な治療が必要な場合も多々ありますが、治療の必要なレベル出ない場合は、自己管理と生活習慣によって力を付け、体を柔らかくし、痛みを減らすことが長く体を使うための「こつ」になります。
少しでも病院に縁のない生活を送るため「自分で自分を癒せる」ようにこころがけましょう。


膵臓の病気について



消化器科科長 齋田康彦
膵疾患は、近年アルコール摂取の増加や食習慣の変化、喫煙等により増加傾向にあります。特に急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がんは、よく経験する疾患で今回はこれらの疾患について簡単にお話しします。

急性膵炎は、アルコールや胆石などが原因で急激に上腹部に痛みを生じる病気です。お腹を抱え込む程痛くて救急車を呼ばなくてはいけないほどの痛みのときもあります。約70%は軽症で内科的治療で軽快しますが、約2%は重症化して亡くなられます。
慢性膵炎の原因は、約55%がアルコールです。アルコール性慢性膵炎の定義としては、エタノールに換算して1日80グラムを10年間以上継続し、他の原因が考えられないものとなっています。日本酒で言うと約3合、 ビールなら大瓶約3本というところです。慢性膵炎になると上腹部の痛み(うつぶせで増強し前かがみや横向き で軽減)や、体重減少、糖尿病の合併、脂肪便などの症状がでてきます。中には膵臓に膵石という石ができる人もいます。

急性膵炎は、急激に発症しますが、回復すれば機能は元に戻ります。しかし、慢性膵炎の場合は機能が完全に元に戻る事はないため、脂肪摂取制限や内服、インスリンといった治療が必要になります。また、膵石による痛みを伴う場合や膵管に搾取のある場合には、ESWL(体外衝撃波結石破砕療法)やERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影検査)によるステント挿入による狭搾解除といった入院による治療も必要となります。
膵臓がんは、未だに早期発見が難しいがんです。膵臓は大きくわけて頭部、体部、尾部にわかれますが、特に体部、尾部がんは症状が出にくいため発見時には手遅れという状態がしばしばあります。頭部のがんは、急性膵炎や黄疸などで見つかることがありますが、それでも2㎝以下で発見されるのは珍しく、なかなか根治とい うのは困難なのが現状です。膵がんも喫煙が危険因子と言われています。御心配な方は、血液検査、CT、MRIや腹部エコーを受ける必要があると思います。また、異常を指摘された場合には入院していただき、ERCPによる直接造影や細胞診、血管造影などを行い病変の細かい診断をして治療方針を決定します。
以上簡単ですが最近増加傾向にある膵臓の病気について書いてみました。この他にも様々な膵臓の病気があり ます。気になることがありましたらお気軽に消化器科を受診して相談してください。

前立腺がん



泌尿器科医長 新保斉
天皇陛下に前立腺がんが発見され、摘出手術を受けられたことが年末年始にかけてテレビ、新聞で報道されました。ある有名な映画監督は前立腺がんで亡くなられました。当院泌尿器科外来にもその報道以来、自身が心配だと前立腺がんの検査を希望される方が多く受診されるようになりました。中高年男性の関心事のひとつとなりつつあるようです。

前立腺は男性の膀胱の下に尿道を取り囲むようにあり、精液の一部を分泌し、子供を作る上で無くてはならない臓器です。これまで前立腺がんは欧米人に多く、日本を含むアジア人には比較的少ないと言われていました。しかし近年、生活の欧米化や高齢化とともに罹患率、死亡率とも増加傾向にあり、国の統計を見ますと、男性の部位別死亡率は1990年9位、95年8位、2000年7位と順位も確実に上昇してきています。

前立腺は個人差があるものの年齢とともに大きくなり尿道を圧迫してしまうため、中高年の男性に少なからず排尿障害 をもたらしてしまいます。いわゆる前立腺肥大症の状態が生じてきます。しかし前立腺がんは発生部位が尿道から離れたところに多いため、初期には前立腺肥大症のように尿道を圧迫することがほとんどなく排尿障害など自覚症状による早期発見が難しいと言われています。現在では血液検査で簡単に前立腺特異抗原(PSA)の測定が可能になり、がんの早期発見がなされるようになってきました。PSAは前立腺組織から分泌される物質で、前立腺肥大症、前立腺の炎症、前立腺がんなどで上昇してきますが、PSA値が正常を超え、がんの疑いが否定できない場合、前立腺の組織を採取し顕微鏡による検査を行う必要がでてきます。もしがんが確認されれば、そのがんの性格(おとなしいタイプか、暴れやすいタイプか) 、がんの体への拡がりの程度を確認し、治療法を検討することになります。前立腺摘出手術、放射線照射、内分泌(ホルモン)療法などの治療法がありますが、がんの状況、患者さんの希望などをもとに、治療法を決定することになります。

どのがんにも言えることですが、早期発見・早期治療がなされれば、その後のがん再発率が減少してきます。先にも述べましたように、前立腺がんによる自覚症状は初期には乏しく、現在発見される場合のほとんどは偶然に血液検査(PSA)で異常を指摘されることがきっかけになっています。静岡県の前立腺がんによる死亡率は全国の中で高いほうだといわれています。それは検診率の低さにあるとの調査があります。前立腺がんの発生率は50歳から急上昇してきます。排尿の異常の有無にかかわらず、中高年男性には年一度程度の前立腺がん検査を強くお勧めいたします。

突然死を防ぎましょう



循環器科 田中隆光
現在、心臓疾患で亡くなる日本人は悪性腫瘍についで第2位となっています。心臓疾患の中には、心不全、弁膜症、不整脈、虚血性心疾患、心筋症等があり、突然死の主な原因となっています。突然死を防ぐためにはどうしたらいいのでしょうか。心筋梗塞や狭心症でよく知られている虚血性心疾患を例に挙げて述べてみたいと思います。

心臓は冠動脈と呼ばれる血管により血流を受けており、この冠動脈が加齢と共に動脈硬化をきたし、内腔が狭くなってきます。すると、歩行時や坂道を登る時等、心臓に負担がかかった時充分な血流が得られず胸がしめつけられる、冷や汗がでるといった症状が出現します。これが労作性狭心症です。狭心症の場合、安静やニトログリセリン舌下で症状が改善します。狭心症の段階で適切な治療をうければ心臓に大きな障害が残ることなくその後の生活を送ることができます。症状が出始めた時や痛みの程度が強くなる時には不安定狭心症といい、心筋梗塞に移行する可能性が高く緊急入院が必要です。

冠動脈が血の塊により完全に閉塞してしまうと血流が止まってしまい、心筋に血液が供給されなくなります。これが急性心筋梗塞です。狭心症と違い、安静やニトログリセリンを使用しても症状は改善しません。

心筋梗塞を発症すると、突然の心停止や、心室細動といって心臓が痙攣し始め、その後心臓が止まるといったことが起きることがあります。一刻も早く救急車を依頼し病院へ搬送してもらうことが必要です。病院到着後は心電図、心エコー、血液検査、レントゲン等の検査を行い、可能であれば緊急心臓カテーテル検査を行います。足の付け根(鼡径部)を局所麻酔し、動脈内にカテーテルと呼ばれる細い管をいれます。そこから心臓までカテーテルを進め造影剤を使用し冠動脈の撮影を行い、閉塞している血管を確認します。その後、閉塞を解除し血流を再開する為に風船で閉塞部を広げる治療を行います。風船での治療が不十分な場合、ステントと呼ばれる金具を血管内に留置し、血流を保つ様にします。

こうした治療により冠動脈の閉塞を治療しても、一旦心筋梗塞を発症してしまうと心臓へのダメージは避けられません。心臓の動きが悪くなり、今までの仕事ができなくなったり、日常生活への行動が制限されたりします。

大切なのは、こうした心筋梗塞を起こさないようにすることです。年齢を重ねれば必ず動脈硬化は起きます。この動脈硬化を早く進めてしまう要素には、高血圧・高脂血症・糖尿病・喫煙・ストレス等があります。これらは健康診断で異常を指摘されても自覚症状がなかったり、仕事が忙しかったり等の理由で放置してしまう方が多いかもしれません。放置しておけば動脈硬化はどんどん進行し、やがて心筋梗塞や脳梗塞などの命にかかわる病気を発症します。突然死にならない為にも、また元気に長生きする為にも健康診断は必ずうけ、異常を指摘されたら、かかりつけの医師とよく相談するようにしましょう。