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道しるべ Vol.24

病棟の7階から見える景色です。
昨年完成したスポーツ交流の里ゆめりあも見ることができ、天気の良い日は素晴らしい眺めです。
入院患者様の心をなごませてくれます。


褥瘡対策委員会の発足と活動について



皮膚科科長 影山葉月
高齢化が進み、臨床現場では褥瘡の予防や治療を必要とする患者さんが急増しています。また、在宅介護、在宅医療の推進から在宅での要介助の患者さんが増え、褥瘡の発生や継続治療のケースも多くなってきています。そのような中で、今回厚生労働省の指導により、平成14年の10月から全国の総合病院で一斉に褥瘡対策委員会の発足と活動を行っていく方向性の決定があり、当院においてもその実践が始まっています。

当院ではこの決定よりも数年早く、看護師を中心とした褥瘡対策を考える小委員会を自主的に発足し活動を行ってきましたが、約1年程前からは本格的に医師、看護師による委員会を定期的に開催してきました。今回、厚生労働省の示す指針に沿った形で、よりよい看護内容を目指して、新たに褥瘡対策委員会として発足し活動を開始している状況です。

具体的には、当院に入院された総べての患者さん一人一人に対して、褥瘡があるか無いかをチェックし、褥瘡がある患者さんに対しては主治医を中心に、その際の褥瘡の状態に対する最も適した治療や処置内容を検討し実施していきます。入院時に褥瘡が無くても、生活自立度の評価を行い、寝たきりや運動制限のある患者さんに対しては、病棟の看護師をはじめスタッフが中心になり2時間ごとの体位交換やスキンケア(皮膚の手当て)をきめ細やかに行っています。

最後に自宅あるいは施設で寝たきりのご家族をかかえていらっしゃる一般の方々に、いくつか褥瘡予防についてお話したいと思います。褥瘡とは、2・3時間同じ格好で寝ていることにより、接した側の皮膚が圧迫され、血流が途絶えてしまい皮膚が壊死(細胞が壊れて黒く変色した状態)してしまう現象のことです。できてしまうのはあっという間なのですが、治療には何ケ月もかかりますし、ひどい時には何年もかかってしまうという難敵であることを、是非ここで改めて認識していただきたいと思います。少なくとも2・3時間ごとに1度の体位交換を絶対に欠かさないことが重要です。(健常人では自然に寝返りをうっています。)家庭の事情によっても異なりますが、これを実際の日常生活に取り入れることはかなり大変です。予防も治療も一人の家族にまかせてしまうと無理が生じます。一人で悩まず必ず何人かで助け合ったり、介護保険のシステムを上手く使い訪問看護の援助をうけたり、場合によっては、費用はかかりますが療養型の老人施設への入所の方向を検討するなどの選択を行っていく必要があると思います。

遺伝子と病気



臨床検査科科長 谷岡書彦
この10年間、遺伝子工学、分子生物学の技術がたいへん進歩しました。この新しい技術は、今まで謎だった、命の伝わる仕組みや、がんをはじめ多くの病気の原因を私たちに教えてくれます。わかりやすいように、たとえを使って説明しましょう。

人間の体は大きな化学工場に似ています。私たちが快適に生きていくためには、体の中で多くの化学反応がおこっています。この反応の原料になったり、反応を進めたり止めたりする触媒や酵素の働きをするのがタンパク質です。タンパク質は約20種類のアミノ酸という物質が複雑につなぎ合わさってできた物質です。私たちの体にはこのアミノ酸をうまくつなぎ合わせて、必要なタンパク質をつくる設計図がしまい込まれています。

その設計図にあたるものをDNA(ディーエヌエー)といいます。人間の体をつくる約60兆の細胞の核一つ一つに、46巻の本のように設計図のDNAが書き込まれています。書き込まれた本を染色体と呼んでいます。DNAはたった四種類の文字、A・T・G・Cの組み合わせで書かれています。(それぞれアデニン、チミン、グアニン、シトシンという物質の頭文字です。)細胞の核の中でDNAの設計図はRNA(アールエヌエー)という伝票に書き換えられて、タンパク質の工場であるリボゾームに送られます。リボゾーム工場では設計図どおりに正しい順序でアミノ酸を組み合わせて必要なタンパク質をつくります。設計図DNAにはA・T・G・Cの組み合わせからできた膨大な数の文章が書かれていますが、このうち意味のあるアミノ酸の設計図となる文章はおおよそ3万から4万であることがわかりました。この意味のある文章が遺伝子です。2001年までにこの設計図がおおよそ判読できたのです。

人間は生まれてくる時に、この設計図の半分をそれぞれ、お父さん、お母さんからもらってきます。そして少しずつ、設計図(DNA)のつづりの一部分を組み替えて自分の設計図を作り出します。そのため、子供は親に似ています。でもまったく同じにはなりません。

がんをはじめ、いろいろな病気では、アミノ酸の設計図である大切なDNAに書き間違い、写し間違いがあり、修復できないことがわかってきました。必要なタンパタ質ができなかったり、おかしなタンパク質がつくられてしまったりするのです。

慢性骨髄性白血病という血液の病気があります。血液の白血球がどんどん増えていき、急性の白血病をおこしてしまう病気で す。この病気の白血球では9巻(9番染色体)に書かれているbcrという設計図が22巻(22番染色体)のablという文章の途中に誤って書き写されていることがわかりました。この誤った設計図からは間違ったタンパク質がつくられ、どんどん次々に白血球をつくり続けるのです。今までは抗がん剤で白血球をこわして治療していました。インターフェロンという薬も使えるようになりました が、急性白血病の発症をおさえることがなかなか難しかったのです。2000年代になり、間違ったタンパク質の働きを抑えてしまう薬が登場しました。うまく効くと、間違った設計図をもった白血球が消えてしまう人もでてきています。難病の克服に確実な手応えがでてきたのです。

じつは慢性骨髄性白血病はヒトの病気の中で、初めてDNA設計図のまちがいで起こっているとわかった病気なのです。22番目の染色体が短くなっていました。発見した大学の名前をとってフィラデルフィア染色体と名付けられています。この染色体発生の仕組みについて解明がすすみ、より詳しいDNAのつづり間違いがわかりました。その間違いをねらった薬をつくることができたのです。この薬も自然に存在するものではなく、標的になるタンパク質を絞り込んで工学的につくりだしたということです。

白血病だけでなく、大腸がんや乳がん細胞などでもDNAのいろいろな書き間違いや、書き間違いを修復できない異常が見つかってきています。マイクロアレイというチップを使えば一度に1万近くの遺伝子の異常を調べることもできるようになりました。複雑な異常をどのように情報処理して治療に生かすかがこれからの問題となってきています。この結果をうまく利用すれば、がんを抑えたりがん細胞とうまく共存できる時代がきます。わたしたちはそのすぐ近くまで来ています。しかし、がんで死なないようにするためには、まだまだ多くの情報が必要です。

がんの遺伝子異常は、そのがん細胞だけに出現するもので、子孫に代々伝わる遺伝情報とはちがうものです。治療や診断あるいはがん治療の研究に必要なとき、検査などで採取した血液や組織の細胞の遺伝子異常を調べさせていただきたいとお願いすることがあるかもしれません。その場合は、担当医の説明に納得されたうえで、ご協力いただければ幸いです。

貧血…鉄欠乏性貧血といわれたら



血液内科 重野一幸
"貧血"というと、中学生ぐらいの女の子が朝礼の時にクラクラとして座り込んでしまう、といったことが思い浮かぶと思います。実はこれは何らかの理由により大脳に充分な血液が回らなくなったことが原因です。最も多いのは精神的な緊張や疲労からくる迷走神経反射による徐脈(脈拍が遅くなること)や起立性低血圧です。

血液検査でいう貧血とは、血液の中で酸素を全身に運搬することができる赤血球ヘモグロビン(血色素)の濃度の低下 を意味します。通常の男性では13.5から17.5g/dl、女性では11.0から45.5g/dlであり、女性の方がやや少ないとされています。

それでは貧血の原因になるものにはどの様な病気があるのでしょうか。日本人で最も多い貧血の原因は鉄欠乏性貧血です。これはヘモグロビンの材料である鉄が不足するためにヘモグロビンを作ることができず貧血が進みます。したがって治療には鉄剤を補給することがまず第一です。緊急を要する場合には点滴で、そうでない場合には内服薬で鉄剤を補うことにより2・3日以内に骨髄で血液を作り始め、一週間ぐらいで検査上の貧血の改善が見られてきます。実際には貧血が改善してからも体のなかの鉄のストックを完全に補うためには数ヶ月間は鉄剤の内服が必要になることが多いです。

鉄欠乏性貧血には主に2つの原因があります。一つは食事からの鉄分の摂取不足です。昔は鍋やフライパンが鉄製であったことから知らず知らずの内に鉄を体に吸収していました。またほうれん草や豚肉、レバーといった食物から鉄を補うことができました。最近の食生活ではこの様な事が少なくなり、食事からの摂取量が減少してきています。もう一つは出血です。女性の方は生理があるため通常の生活をしていても鉄欠乏性貧血を起こしやすいのはこのためです。また胃潰瘍、十二指腸潰瘍といったストレスからくる消化管の潰瘍や、日本人に多いとされる胃癌、大腸癌などの悪性腫瘍が隠れている場合があります。したがって鉄欠乏性貧血の患者さんが病院に受診した場合はまず出血源を探すことが必要です。消化器内科の先生に依頼して胃カメラや大腸ファイバーなどの検査、女性の方では婦人科の先生に子宮筋腫や内膜症があるかどうか検査していただく必要があります。出血源が確認できた場合はその治療を優先します。このように鉄欠乏性貧血といっても種々の原因があるためにいろいろな検査や病気に対する対応が必要になります。

健康診断の時の採血で簡単に見つかる貧血です。あなたは見逃していませんか?重大な病気が隠れていることもあります。再検査、精密検査が必要と指示された時には一度病院を受診してみて下さい。

病気には早期発見、早期治療が必要です。

新任医師紹介1


外科医長 中澤秀雄
10月1日付けで名古屋大学第一外科(器管調節外科腫瘍研究室)より当院外科に赴任してきました中澤秀雄です。出身は長野県の南部地方伊那谷高森町というところです。

専門は消化器外科・一般外科で、研修・診療は青森県を中心に行いました。医療環境は本来平等であるべきですが、地域によってかなり違うということを身をもって体験してきました。

卒業以来MRI等新しい診断手技の出現、腹腔鏡手術の開発、内科の先生方による内視鏡手術の発達、新しい医療器械の開発等医療の状況も日々変化しています。手術手技も多様で新しい手術の開発、普及も珍しいことではありません。日々研鑚し、地域の方々により良い医療(診断・治療)を提供できるように努力いたしますので宜しくお願いします。

新任医師紹介2



呼吸器外科医長 伊藤靖
こんにちは。8月から、当院呼吸器外科で働かせていただいています。平成2年に浜松医大第一外科に入局した頃、静脈留置型人工肺の新聞記事に興味を持って、呼吸器外科を専門にすることになりました。

意識があるときに口から管を入れられて人工呼吸器で酸素を送られるよりは、酸素を点滴するように身体の中に送れたら食事も会話もできて良いだろうなと感じたのですが、実際はこの静脈留置型人工肺も患者さんへの負担が大きく、結局実用化されていません。

呼吸器外科の手術では、術後の疼痛や、息切れに悩まされる患者さん、あるいは術後在宅酸素が必要になる患者さんもいらっしやいますが、できるだけ機能を温存して痛みの少ない治療を心がけていきたいと考えています。よろしくお願いいたします。