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道しるべ Vol.19

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)と除菌療法について

第3医療部長(消化器科) 犬飼 政美

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)とは、人の胃の粘膜に生息しているらせん形をした細菌で、体の端に数本の鞭毛がついていて活発に運動することができます。胃には強い酸があるため、長い間、細菌はいないと考えられていましたが、1983年に胃の粘膜よりピロリ菌が発見され、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気と深い関係があることがわかってきました。ピロリ菌を抗生物質などの薬を服用して退治する治療のことを除菌療法といいます。このたび、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんでピロリ菌に感染している人に、通常の保険診療で除菌療法を行うことが可能となりましたので、ピロリ菌と除菌療法について述べてみたいと思います。

ピロリ菌が強い酸を分泌する胃の中で生存できるわけは、胃の粘液中にある尿素を分解してアンモニアを産生する能力を持ち、強い酸を中和してピロリ菌の周辺を中性にすることができるためです。感染経路は、大部分が口を介した感染(経口感染)と考えられており、上下水道の普及など衛生環境と関係していると考えられています。日本では若い人の感染は比較的少ないのですが、40歳以上では約80%の人がピロリ菌に感染しています。ピロリ菌に染すると胃に炎症が起こり、慢性胃炎の本質である胃粘膜の萎縮を起こす重要な原因になっています。また、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんは、ピロリ菌に感染していることが多く、潰瘍の発生と再発を繰り返すことや治りにくいことと、この菌が関係していることがわかっています。今回保険適用になった除菌療法は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんに検査を行い、ピロリ菌がいることを確かめてから治療を行います。ピロリ菌の診断には内視鏡を使う方法と内視鏡を使わない方法があります。

当院では、吐いた息でピロリ菌の診断ができる尿素呼気試験を主体にしています。除菌療法は、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質の合計3剤を7日間服用する治療法です。治療中に起こりやすい副作用は、便がゆるくなったり下痢をすること、味覚の異常をきたすことや肝機能検査値が変動することなどですが、副作用がひどくて治療を中止することはほとんどないようです。

すべての治療が終了した後、4週間以上経過してから除菌できたかどうか、もう一度検査する必要があります。除菌の成功率は85%から90%くらいで、除菌に成功した人の潰瘍の再発率は除菌が不成功に終わった人に比べて明らかに低く、ピロリ菌を除菌することで潰瘍の再発をかなり抑制することが期待できます。しかし、除菌が成功しても潰瘍が再発する人があり、一部の人に胃や十二指腸にびらんができたり、逆流性食道炎を起こすことが報告されています。除菌療法を行うかどうかは主治医とよく相談してから決めてください。

糖尿病について

内科 吉村 佳二

糖尿病は国民病、患者数は690万人

最近の調査では40歳以上の9人に1人が糖尿病であり、その半数は、自分が糖尿病とは知らずに過ごしている事が明らかになりました。また将来、糖尿病になり易い境界型と呼ばれる人たちはさらに多くいることもわかりました。一昨年、日本での糖尿病の治療費は9,000億円を超えました。

なぜ糖尿病になるのか?

遺伝+環境=糖尿病という式がなりたちます。遺伝子が全く同一である一卵性双生児の糖尿病の一致率は85%以上にのぼります。糖尿病になり易い体質の人が過食や運動不足で肥満気味になり、ストレスにさらされると糖尿病を発症するわけです。

糖尿病とはどんな病気?

私達はブドウ糖を一番大切なエネルギー源にして生命を維持しています。ブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用したり、貯えたりするには膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが必要です。インスリンの出が悪くなったり、働きが悪くなったりして糖がうまく処理できず、血液中の糖が余りだす(血糖が高くなる)のが糖尿病です。

糖尿病になるとどうなるのか?

糖尿病が発症しても、しばらくは何の症状もないのが普通ですが、そのうちだるくなったり、やせてきたりします。しかし何よりも恐ろしいのが合併症の出現です。自覚症状がないからといって治療を怠ると合併症はひそかに進行します。失明の原因のトップは糖尿病性網膜症であり、人工透析を受けなければいけない腎不全の原因の3分の1は糖尿病性腎症、成人の外傷以外の原因による足の切断の40%は糖尿病性壊死であり、さらに狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳卒中の危険因子にもなっています。

糖尿病は治るのか?

残念ながら、治りはしません。しかし健康な状態を保つことは可能です。生活習慣の改善、すなわち、その人に見合ったカロリーでかつ、バランスのとれた食事と適度な運動を維持すれば大半は薬を使わずに血糖をコントロールでき、合併症の予防につながります。合併症が既に出てしまっている人は、もうそれ以上、合併症を進めないように、食事療法と運動療法に加えて、薬の力を借りることになるのが一般的です。今は、糖尿病を発症させないという段階の治療も始まっています。

糖尿病と言われてしまった。これから先、大丈夫?

無病息災から一病息災への発想の転換をして下さい。もし糖尿病と診断されても病気に無頓着でも神経質になり過ぎてもいけません。健康な生活を送る相棒と考え、うまく付き合っていって下さい。それには先ず、糖尿病を、そして自分の病気の状態をよく知って頂きたいのです。そのお手伝いをさせて頂くのが我々の仕事です。

臓器提供意思表示カードの携帯について

院内移植コーディネーター・ケースワーカー 鈴木由美子

平成9年「臓器移植に関する法律」が制定されてから、今日までに十余例の臓器提供患者さんがありました。

法律が施行されたと同時に「臓器提供意思表示カード」の普及も行われました。皆さんも県民だよりや警察署、保健所等で黄色いカードを見かけられたことと思います。当院にも正面玄関左側にある会計カウンターに設置しています。それには説明書もついているのですが、多くの方は、そのカードは臓器を提供するためのカードと思わがちですが、実はそうではなく、「私は心臓が止まった後も、仮に脳死の状態になった時も、臓器の提供は考えていません」ということを表示するためものでもあるのです。

カードの配付枚数も平成12年10月現在で6,700万枚以上になりました。多くの方がカードを手に取り、ご自身のことについて考えられたと思います。

カードの中にある数字については、該当する箇所に必ず○をつけて下さい。

そして、署名年月日を記載して下さい。もし、作成した後に考えが変わった場合には、新たにカードを作成し直しても構いません。そうすることでご自身の考えをしっかり持ち、できればご家族にもその意志を伝え、理解を得ておくことが良いかと思います。

一度「臓器提供意思表示カード」について、ご家庭で話し合いされることを提案いたします。