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道しるべ Vol.18

脳腫瘍が切らずに治る-エックスナイフ

脳神経外科 田ノ井千春

最近、脳神経外科治療の進歩は著しいものがあります。MRIやCTなどの診断機器により初期の脳腫瘍などの病変も容易に発見できるようになりました。また、治療方法も多彩となり必ずしも頭を切らなくても治療できるようになりました。そのひとつに平成10年より当病院が導入したエックスナイフがあります。

これは放射線を脳腫瘍などの病変に集中して照射することにより、頭を切ることもなく正常脳にはほとんど影響を及ぼさず病変部のみを治療する画期的なシステムです。開頭手術が困難な脳の深部にある病変に対しても比較的安全に治療を行うことができます特に癌が脳に転移した腫瘍では95%以上の高い治療効果を示しています。

今までは治療の対象とならなかった進行癌で脳に多くの転移巣のある方でも、この治療を受けることにより手足の麻痺を生じることもなく、いつまでも家族と会話をかわし有意義な時間をより多く持つことができるようになりました。また放射線治療というと悪性腫瘍を治療するというイメージが強いのですが、髄膜腫や聴神経腫瘍といった良性腫瘍の治療にも広く行われ高い治療効果を得ています。脳腫瘍のみならず脳動静脈奇形などの血管障害にも非常に有効で第1選択の治療とされています。最近では三叉神経痛(顔面の痛み)などの機能的疾患にも行われるようになりました。全身麻酔を必要とする開頭手術を行わないため、入院期間は一般に3日間です。治療の前日に入院していただき必要な検査を行います。翌日に治療を行い、3日目には退院できます。治療は局所麻酔にて行い1日で終了します。治療中は痛みもありません。しかも局所麻酔で行うため、全身麻酔で行う手術と違って高齢者の方や全身状態の比較的悪い方、肺や心臓に病気があり全身麻酔をかけるには危険な方にもより安全に治療を受けていただくことができます。

エックスナイフのような治療法は定位的放射線治療といわれ、別名Radiosurgery(放射線外科)ともいわれています。実際には頭を切らないのですが、あたかもメスで切ったように病変部が治療されるため、この名前があります。このようなシステムは静岡県では当院を含め現在2ヶ所しかありません。最近ではこの治療を受けるため浜松の主要な病院より多くの患者さんが紹介されるようになりました。

この治療法だけですべての脳腫瘍や脳動静脈奇形が治療できるわけではありませんが、いろいろな治療法を組み合わせることにより治療効果をさらに上げることができます。

前立腺肥大症について

泌尿器科 佐藤滋則

前立腺は男性だけに存在する臓器です。膀胱の下にあり、この中を尿道が通り陰茎へ通じています。その構造は簡単に言いますと夏みかんのようになっており、内腺(みかんの実)と外腺(みかんの厚い皮)からなっています。50歳前後になり男性ホルモンに変化が起きてくると内腺が次第に肥大してきます。これが前立腺肥大症です。早ければ40歳代の方にも見られ、70歳代では40%で認められます。

前立腺肥大症の症状は肥大の進行とともに変化していきます。頻尿、とくに夜間頻尿が主な第1期(刺激症状期)。前立腺肥大による尿道の圧迫が進み、尿の勢いが悪くなる、残尿感を感じる、尿の切れが悪い、といった様々な排尿困難の症状が現れる第2期(残尿発生期)。大量の残尿のために常に膀胱がいっぱいになった状態が続き、時には腎臓の働きまで悪化してしまう第3期(慢性尿閉期)。

外来にこのような排尿困難を訴える患者さんがみえましたらまず前立腺の触診をしてそのだいたいの大きさと硬さを調べます。硬さは前立腺癌との鑑別でとても重要です。そして腹部超音波検査で前立腺の大きさを計測します。

つぎに排尿状態を把握するために、尿の勢いを調べます。機械の前に立って尿を実際に出していただきますと、自動的に測定できます。それから、前立腺癌との鑑別のために、前立腺特異抗原(PSA)という血液検査をします。

ここまで調べますと治療方針がほぼ決まります。(患者さんによっては、更に尿道や腎臓のレントゲン撮影が必要な方もいます。)第1期、第2期の方は主に内服薬での治療になります。様々な薬があります。

(1)α-ブロッカー(ハルナール、フリバス)…前立腺の筋組織に分布する神経の働きを抑えることで、前立腺内を通る尿道を広げる薬です。現在、最も広く使われている薬です。

(2)男性ホルモンを抑える薬(パーセリン、プロスタール)前立腺肥大の進行には男性ホルモンが必要です男性ホルモンを薬で抑えることにより2~3ヶ月の間に前立腺は2割程度縮小します。ただし男性ホルモンを抑えるために勃起障害、女性化乳房などの副作用は必ず起きます。

(3)生薬、漢方薬(エビプロスタット、八味地黄丸)前立腺のむくみや炎症を抑えることで間接的に排尿状態を改善します。第2期、第3期で内服薬が効かない場合は外科的な治療が必要です。当科では前立腺の大きさによって手術法を決定しています。中等度の肥大症には内視鏡で前立腺を内側から削る手術を、高度の肥大症には開腹手術を行います。

また高齢や合併症のため手術できない方には、前立腺内の尿道にメッシュ状の管を入れ排尿できるようにする治療もあります。詳しいことをお知りになりたい方は外来でご相談ください。

よろしくお願いします(外科)

外科 小西由樹子

今年の6月から研修医として当院外科に勤務しています。以前は浜松医科大学附属病院で働いていました医師となってようやく1年半が過ぎようとしています。

想い起こせば私が医師を目指すきっかけとなったのは、あるテレビ番組でした。中学3年の頃だと思いますが、たまたま学校の定期試験が終わった後の休日に、家でのんびりとテレビをつけていた私は、偶然にも新人の女医さんの1日の生活を追ったドキュメンタリー番組を目にしました。内容の詳細は覚えていませんが分刻みの忙しさとすべての仕事が患者さんの為に行われていることにすっかり感銘を受け、単純な私はその日のうちに、将来自分は女医さんになるんだと心に決めていました。

又、その当時はまだ女医の数が少なかったこと、周囲の友人たちの中にも女医を目指している仲間が数多くいたこと、医学の分野に興味があったことなどでさらにその想いは強まりましたおよそ10年経過した今、医師として毎日病院で働いていることを考えると本当に夢のようです。しかし、実際はいつもそのような想いで仕事をしているわけではありません。

医療という現場の中で自分の行動ひとつひとつが持つ事の重大さ、厳しい状況の中ですばやく対応していかなければならない判断力を必要とするなど難しいことが多く、先輩医師の助けをかりていることもたくさんありますまだ医師となって1年半しか経っていませんが、他の職業に就いていたら経験していないようなことも今までにたくさん経験してきました。私にとっては毎日が新鮮ですべてが勉強であります。忙しさの中にあっても、自分の医師としての器を少しでも大きくしていけるように努力していくつもりです今後、外来や病棟で皆さまと接する機会があるかと思いますが。